NC工作機械とは,Numerically Controlled Machine Tools,数値制御(数値によってコントロール)される工作機械のことです。JIS(日本規格協会)では数値制御を「工作物に対する工具経路,その他,加工に必要な作業の工程などを,それに対応する数値情報で指令する制御」と定義しています。
NC工作機械とは
NC工作機械とかNCマシンといわれるものの解説をお願いします。
解説します。
1. NCとCNC
NC工作機械のNCとは英語の頭文字をとったものです。
つまりNumerically Controlled Machine Toolsですから,数値によってコントロールされる工作機械のことで,数値制御なのです。
JIS(日本規格協会)ではJIS B 0181数値制御工作機械用語において「数値制御」を次のように定義しています。
「工作物に対する工具経路,その他,加工に必要な作業の工程などを,それに対応する数値情報で指令する制御」。
NCとは数値で制御することですから,世の中にはこのような分野はたくさんあるはずですが,一般にNCといえば数値制御の工作機械を指すようです。
NC工作機械は初めのころに各種の論理素子,記憶素子などを組み合わせ,必要な機能を発揮させる電子回路を組み立てていました。
やがてミニコンピュータやマイクロプロセッサが開発されて,コンピュータを内蔵した工作機械となってきました。
コンピュータ化されたNC,すなわちComputer NCあるいはComputerised NCと呼ばれるようになりました。これを省略してCNCと呼んでいて,現在の工作機械のNCはそのほとんどがCNCと考えてよいでしょう。
2. 基本的な加工
それでは工作機械では具体的に何を,どのように制御するのでしょうか。
まず,工作機械とはどのような仕事をするのかを考えてみましょう。
それは人間に必要な道具や,機械を製造するために様々な種類の金属を削ったり,穴をあけたり,磨いたりします。
工作機械が加工する材料は金属ですから,大変に大きな力を必要とすることは容易に理解できます。また,様々な機械の基になるものを加工するわけですから,要求される寸法精度は極めて高いことが多いわけです。
工作機械で切削または研削加工をする時は刃物と被加工物が互いに干渉する状態で,何らかの相対的な運動をさせなければなりません。その運動の基本的なものに次の3つがあります。
- 主運動(切削・研削運動)
- 送り運動
- 位置決め運動(切り込み運動)
基本的な加工方法には,次のようなものがあります。
(1)旋削
被加工物を回転させて,刃物が直線送り運動をします。
(2)平削り
直線切削運動と直線送り運動の組み合わせになります。
(3)穴あけ
被加工物を固定してドリル,リーマ,タップなどの刃物に回転切削運動と回転軸の方向の直線送り運動を行わせながら穴をあけます。
(4)フライス削り
フライスに回転切削運動を与えて,平面や溝など様々な形状を削りだします。
(5)研削
砥石を使って加工物の表面を削ります。
(6)電気加工
金属の代わりに,電気エネルギを刃物工具として用いて加工します。(放電加工,レーザ加工などがあります)
NC工作機械はこのような加工を行うために,次々に変わっていく刃物,被加工物の位置,および速度を数値によって制御するわけです。
3. NC装置の構成
図1に実際のNC装置の構成概念を示します。

図1 NC装置の構成概念
始めに紙テープなどの媒体上に,一定の形式で記録された入力情報が入力部から読み込まれます。所定の形式というのは,例えば工具をX軸方向に100mm,Y軸方向に200mm移動させようとする時にX100,Y200と書き込むと約束するようなものです。この入力情報にはその他様々なデータ,例えば主軸の回転数,切削の送り速度などが入ります。
サーボ制御部はそれぞれの制御内容に対応して,位置決め制御部と速度制御部からできていて演算部から出力されたパルス列にしたがってテーブルなどの位置と,そこまでの速度を定めてサーボモータを制御します。
サーボモータは電気パルスによって一定角度だけ正確に回転して停止するようになっていますから,このモータでボールネジが回転してテーブルなどの位置決めをします。
4. サーボ機構
工作機械でNC装置が人間でいえば頭脳としますと,サーボ機構はNC装置の情報処理回路からの指令によって工作機械のテーブルなどを動かすことであり,人間の手足の役目を果たすものといえます。これを簡単に示すと図2のようになります。

図2 NCサーボ機構
サーボ機構の定義には,定まったものはないようですが,NC工作機械においては次のようにいうことができます。
「速度と位置を制御することのできる駆動機構」
そして今日のNC工作機械においては,使用電動機の主流は「ACサーボモータ」となっています。
<参考文献>
*1 工作機械副読本改訂9版 1991:ニュースダイジェスト社