油性とは | ジュンツウネット21

油性について解説し,具体例を示します。油性という言葉自体の起こりは,事実の発見とのかかわりあいとして,油膜がきわめてうすくなったときに,摩擦に油の粘度以外の性質がきいてくることからいわれだしたようです。

油性とは

よく油性が高い油なのでよい効果がありますとか,この潤滑油には高い油性の添加剤が入れてあるのでぜびご使用くださいなどと油剤メーカーは説明されます。油性とはどんなことを意味しているのか,また油性が高いというときの油性とは何を意味しているのかよくわかりません。具体的に数値を上げてご説明ください。
解説します。

「油性」については,曽田先生の「摩擦と潤滑」の書に詳しく記載されています。これを転載させていただくまえに,この質問でもっとも私たち油屋が困っていることを先に述べます。

油屋が油性とか潤滑性とかいって説明する場合,まずなにか条件を出して説明していると思います。

潤滑に関する説明ばかりではありませんが,現象をとらえて説明しないと説明がしにくいものについて,できるだけ条件を明確にした具体例を置いた説明がもっとも理解しやすいので,ここでは図表をあげて説明したいと思います。

ところで,最初に述べたとおり,曽田先生の「摩擦と潤滑」に“油性(Oilness)”および油性の歴史についてきわめてわかりやすい説明がありますので転記します。

「歴史的には1900年にさかのぼり,はじめはただ固体面の潤滑において,当時信奉されていたレーノルズやペトロフの粘性摩擦の理論が,油膜のごく薄い状態において成立しなくなり,油の粘度とはまったく独立したある種の油の性質が摩擦の大小を支配するようになるという事実の発見にはじまるものである。はじめてこの性質に定義らしい形を与えたのはキングスベリ(1903年)である。彼によると,“油性とは潤滑剤の作用が不完全であるような場合にも,なおかつ摩擦を減少せしめるような原因”なのである。

その後20年間のこんとんたる期間をへて1919年にはディーリの油性試験機があらわれ,このころからハーディのかがやかしい研究がはじまっている。

こうした時代において,1922年ハーシェルははじめて工学的見地から明確な実際的定義を与えた。彼によると“油性とはその油膜温度において同一粘度を有する2種の潤滑剤が,同一条件の下で使用した場合,その摩擦に相違を生ぜしめるような性質”なのである」

と記載しております。

すなわち,油性の定義では,ある油膜温度条件での摩擦に影響を与える性質であることが理解されたと思います。しかし,これでもなお圧力に対する問題が残り,その後ハーシの定義によって油性の説明がほぼ確立されるわけです。ハーシは“油性とは,その油膜温度および油膜圧力において同一粘度を有する2種の潤滑性が同一条件の下で使用した場合,その摩擦に相違を生ぜしめるような性質”であるといっています。

しかし,この説明を受けてもなおわからない性質であると思われるかもしれません。曽田先生もいみじくもビンガム(潤滑油の大家)の皮肉を取り上げられて“油性とは油屋が自分の油を売り込むための方便に使う言葉だ”と書いておられますが,きわめて不明瞭な表現であるのは事実です。また油性という言葉自体の起こりは,事実の発見とのかかわりあいとして,油膜がきわめてうすくなったときに,摩擦に油の粘度以外の性質がきいてくることからいわれだしたようです。

この油膜がきわめてうすくなる現象,すなわち境界線摩擦下の潤滑性こそ油性の問題を説明するかぎになるわけで,今日では,それは潤滑油の界面現象の一つとして説明できるようになりました。しかしなお明らかでない問題も残されています。

この境界潤滑に入りますと,摩擦係数は油の粘度に無関係となり,ある種の界面活性物質の吸着がその領域では重要な役目を果たすようになります。ここで有効な摩擦低下作用を行う物質を油性剤とよびます。油性剤の中でもとくに金属表面と反応して耐焼付性を増すものを極圧剤とよび図1にみるようなカドミウム表面間においてパルミチン酸は室温から60℃まで有効な油性剤として作用しますが,その温度を超えるとスティックスリップを起こすようになります。

次に,冷却するとその過程では110℃付近から有効な油性剤となります。これは,はじめパルミチン酸が融点付近において脱着を起こし,有効な油性剤とはなりませんが,脱着したパルミチン酸の一部がカドミウム石けんとなり,ある濃度に達したときこれが有効な油性剤となることを示しています。このような油性剤は,はじめの物質と,高温になった後の生成物質とでは化学的に異なっているわけです。このようにして生成した物質がきわめて高い圧力に耐えて耐焼付性を示すとすれば,これを極圧剤といっています。

パルミチン酸の摩擦係数と温度関係
図1 パルミチン酸の摩擦係数と温度関係

よい油性剤として作用するには,十分高温においても固体表面に吸着し,有効な摩擦低下作用を示すものでなくてはなりません。図1にみられるように,パルミチン酸そのものの状態では融点近くまで,しかし,金属石けんができるとその融点近くまでその効果があります。表1にみられるように,白金のような不活性な金層表面における脂肪酸分子の配列を乱す温度は,脂肪酸の融点に近くなります。またZnやCuのような活性な金属表面では,それぞれ脂肪酸の金属石けんの融点に近くなります。したがって,これらの事実は脂肪酸が金属表面において化学反応を起こすことを示しています。

表1 脂肪酸と金属表面との反応
潤滑剤
融点(℃)
金属
転移温度(℃)
W.T.(℃)
D.O.T.
F.T.T.
ステアリン酸
69
Pt
60
65
92,103
ステアリン酸
69
Cu
80
108
-
ステアリン酸
69
Cd
130
100
-
ステアリン酸銅
111
Cu
90
110
-
ステアリン酸Cd
110
各種金属
100
130
-
オクタデシルアルコール
56
各種金属 
45
45~55
125

以上,油性に関する説明からほぼ理解いただけたと思いますが,油性の高い油,すなわち潤滑性のよい潤滑剤を考えられればよいと考えます。

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