RBOT の信頼性について | ジュンツウネット21

潤滑油の試験方法にRBOT(回転ボンベ式酸化安定度試験)という方法があり,酸化安定性や残存寿命の評価などに比較的短時間でできることから,よく利用されています。この試験だけで油の変化を追っていても大丈夫なのでしょうか,また適用油種についてもご説明下さい。

RBOTの信頼性について ※

解説します。

潤滑油の酸化安定度試験は,JIS K 2514で次の3方法が規定されています。

(1)TOST(タービン油酸化安定度試験)
(2)ISOT(内燃機関用潤滑油酸化安定度試験)
(3)RBOT(回転ボンベ式酸化安定度試験)

このうち,TOSTおよびRBOTは添加タービン油,油圧作動油など主として工業用潤滑油の酸化安定性評価に用いられています。TOSTはタービン油の酸化安定性評価に用いられています。TOSTはタービン油の酸化性評価に広く用いられている方法ですが,試験時間が1,000~4,000時間と長いため,新油または使用油の品質管理試験法としては適当ではありません。そこで,短時間でできる試験法としてRBOTが開発され,酸化安定性(酸化防止性能)の評価だけでなく,使用油の残存寿命の評価にも利用されています。

この酸化安定度試験は温度が高く,かつ触媒が存在するなど過酷な試験条件にあるため,基油の精製度(組成),添加剤の種類および添加量などによってその結果が違ってきます。そのため,その油種とRBOT評価結果(RBOT寿命値)との関係を十分に把握して,RBOTを残存寿命の評価に利用しなければなりません。

1. 基油組成とRBOT

原油および精製度が異なる基油を使った場合当然その酸化安定性能は違ってきます。酸化防止剤(フェノール類),さび止め剤およびあわ消し剤それぞれの種類および添加量を同一とし,基油組成を変えたタービン油を使い,TOSTおよびRBOTで比較した結果を図1に示します。

各試験法における基油中の芳香族成分の酸化安定性への影響
図1 各試験法における基油中の芳香族成分の酸化安定性への影響

シリカゲルクロマトグラフィによる芳香族分を基油の精製度の特定因子として選ぶと,いずれの試験においても基油の芳香族分と酸化安定性の間に,かなり良好な相関性があります。すなわち,芳香族分量は基油の精製度の目安ともなっています。

2. 添加剤とRBOT

表1は通常のタービン油基油に対する添加剤の効果を,TOSTおよびRBOT についてまとめたものです。

RBOTに対してはアミン系添加剤の向上効果(RBOT寿命値の向上)が大きく,基油の精製度が多少悪くてもRBOT寿命値を大きくすることができます。一方,タービン油に使われているコハク酸系さび止め剤は,RBOT寿命値を低下させる作用があります。そのため,新油のRBOT寿命値の大小だけでその品質を論じることはできません。さらに,添加剤の種類および組み合わせによりRBOT寿命の経時変化(使用時間に対する低下速度,劣化割合とRBOT寿命値の関係など)が違ってきます。

表1 TOST,RBOT試験におよぼす添加剤効果
添加剤
TOST
RBOT
連鎖停止剤(フェノール系)
普通
普通
連鎖停止剤(芳香族アミン)
過酸化物分解剤
普通
普通
金属不活性剤
普通
普通
さび止め剤(コハク酸系)
低下作用

3. 使用油の残存寿命とRBOT

RBOTはタービン使用油の残存寿命を評価するのによく使われています。これはフェノール系酸化防止剤を使ったタービン油のRBOT寿命値変化が,TOSTによる酸化劣化と相関があり,かつ酸化防止剤の残存量とよく相関しているためです。

図2は高度に精製したパラフィン系基油に,フェノール系酸化防止剤を使った代表的な添加タービン油を酸化劣化させた時のRBOT寿命値,酸化防止剤残存率および全酸価の経時変化です。TOSTによる酸化劣化時間に,RBOT寿命値および酸化防止剤残存率がよく相関していることが分かります。このため管理基準値をしっかり定めておけば,タービン油の使用油管理にRBOTが有効な手段として使えます。

TOST試験による添加タービン油の性状変化
図2 TOST試験による添加タービン油の性状変化

4. RBOTの精度

どのような試験においても,その精度が試験結果考察の大切な因子になりますが,酸化試験は試験条件が過酷なため結果がバラツキやすくとくに問題になります。RBOTにおいては,その繰り返し精度が平均値の10%,再現精度が平均値の20%を超えてはならないとなっています。すなわち,RBOT寿命値が大きくなると,精度内であってもその測定誤差が大きくなるため使用油の定期分析において数値が逆転する(補給がないのにRBOT寿命値が大きくなる)ことがあります。

このようにRBOTを残存寿命の評価に使う場合,使っている酸化防止剤の残存量(酸化防止能力)とどのような関係にあるか,RBOT寿命値としてどのような経時変化をするかを十分に把握する必要があります。また,RBOT寿命値とオイルの変色,スラッジの生成はかならずしも一致しません。

以上のように,RBOTの性格を知りその適用油種を選定すれば,有効な試験法と考えます。事実,タービン油のように添加剤処方の比較的単純な油種には使いやすく,火力発電所のタービン油の使用油管理にはよく使われています。

 

※本稿はQ&A第1集発刊時点の情報に基づいて作成されています。

ブルカージャパン ナノ表面計測事業部

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