転がり軸受けの潤滑剤にグリースを使っております。ベアリングの各種損傷があると,その都度取り替えております。特にグリーストラブルとの関係は意識しておりません。潤滑剤としてグリースを信用しておりますが,なんとなく心配です。もし,グリースにもトラブルがあるとするとどのようなものか教えてください。
解説します。
まず,グリースは適切なものを適量給脂しないと新品のままでもトラブルを起こします。
給脂量は軸受けハウジング容積の1/2から1/3が一般的目安です。過充填は軸受け温度上昇,シール破損による粉塵の侵入,ベアリングの損傷の原因となります。さらに電力消費の増加やグリース自体の寿命短縮を引き起こします。
グリースの給脂量を適切にするには,グリースニップルから充填する場合,稼動状態において軸受けのグリース排出口を開放し,新グリースが排出口に届くまで給脂します。さらに遠心力による排出が停止する状態まで排出口を開放することで,給脂の目安が得られます。
次に使用中のグリースの外観によりトラブルを発見し,早期に対策をとることによりベアリングのトラブルを未然に防ぐことができます。表1にグリースのトラブル現象とその原因を示します。
表1 グリースのトラブル現象とその原因
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