給油給脂装置ガイド | ジュンツウネット21

設備機械のトラブルには潤滑不良に起因するものが多く、給油・給脂がメンテナンスの重要な項目です。
当コンテンツでは,給油・給脂装置を各タイプ別にそれぞれの種類・特徴,装置一覧を紹介します。
ご利用上の注意

タイプ別給油・給脂装置

下記のボタンから使用目的別に給油・給脂装置の一覧を切替えられます。

給油・給脂装置の種類

手差し給油(全損式)

  • 潤滑油を油差しで給油する方法。低速,低荷重の間欠運転設備や家庭用ミシン,チェーンなどに使用される。初期投資が少なく,給油作業中に潤滑個所を点検できるメリットがある反面,頻繁に給油しなければならないため給油忘れやゴミの侵入による汚染のリスクがある。また,人手がかかり,運転中に給油できない場合も多い。

滴下給油(全損式)

  • 潤滑油を滴下給油器によって給油する方法。滴下給油器には,可視滴下給油器や振動ビン型給油器,灯心給油器があり,低速,低・中荷重の小型機械の軸受,歯車,チェーンに使用される。
  • 手差し給油に比べて人手が省け信頼性も高いが,温度の変化や油量の減少にともなって給油量が変化するため,油面レベルに注意する必要がある。機器の構造上,滴下しにくい高粘度油には適さない。

機力給油(全損式)

  • 機械本体の回転軸またはモーターによって駆動する偏心カムによりピストンを作動させピストンのストローク分を給油する方法。エンジンや圧縮機シリンダー,真空ポンプ,プレスの軸受,摺動面の潤滑に使用される。
  • 高圧で適量を正確に給油できるが,大量の給油はできない。数十個所の集中給油が可能。

集中給油(全損式)

  • 給油ポンプにより,多数の潤滑個所に適時適量の潤滑油剤を給油する方法。潤滑油の給油とグリースの給脂の両方に使用され,とくにグリースの給脂に使用される。
  • 給油の集中化,自動化が図れる。流量,圧力調整が重要となる。

噴霧給油(全損式)

  • 潤滑油を清浄な圧縮空気でミスト化し,空気とともに配管を通して潤滑個所に供給する給油方法。工作機械の高速スピンドル,高速回転ポンプ,圧延機ロールネック用軸受などの潤滑に使用される。
  • 潤滑油が少量のため攪拌抵抗が少ない,軸受部分から漏洩する油量が少なく設備や製品への汚染が少ない,常に新しい潤滑油を供給でき,軸受寿命を延長できるなどのメリットがある。

オイルエア給油(全損式)

  • ポンプとミキシングバルブを組み合わせて,微量の潤滑油を圧縮空気とともに配管を通して給油する方法。工作機械用精密軸受,高速スピンドルなどに使用される。

油浴給油(反復式)

  • 軸受,歯車部分を潤滑油に浸して運転させる給油法。小・中型の小・中速の減速機や転がり軸受に使用される。
  • 油面の変動により給油量や冷却効果に与える影響が大きい。油面レベルと温度の保守管理が重要である。 

飛沫給油(反復式)

  • エンジンのクランクや歯車の回転部分によってはね上げられた油の飛沫により油面から離れたピストンやシリンダー,軸受や摺動部に給油する方法。小・中型の減速機,小型往復動圧縮機,内燃機関で使用される。
  • 多少の冷却効果があるが,低速,高速には適さない。

リング・ディスク・チェーン給油(反復式)

  • 軸にかけたオイルリング,チェーン,軸に設定したディスクの回転により油をかき上げて給油する方法。中速,低・中・高速荷重,電動機,ポンプ軸受に使用される。
  • 冷却効果は中程度期待できる。低速回転や高粘度油では潤滑不良となり,たて軸のものには使用できない。

パッド給油(反復式)

  • 油中に浸漬され毛細管現象により油を吸い込んだパッドを直接潤滑面に塗布する給油方法。低・中荷重の軸受,鉄道車両の軸受,クレーン車軸の軸受,ドラム軸受に使用される。
  • パッドがろ材としての役目を果たし,常にきれいな潤滑油を供給できるが,ごみなどによる目詰まりに注意が必要。

強制循環給油(反復式)

  • 油タンク,ポンプ,ろ過器冷却器,配管系 をもつ強制循環方式による給油法。内燃機関, 高速・高温・高荷重の設備機械に使用される。 給油量,給油温度,給油圧力の調整がきめ細 かくでき,多数の潤滑個所に適時適正に供給 することができる。冷却効果も大きい。
  • 強制循環給油装置は給油法として優れた機 能を有していることから,蒸気タービン軸受, 圧延機の軸受,製紙機械の軸受,減速機,内燃機関など多くの機械に使用されている。

グリース密封(非補給式)

  • 転がり軸受の両端にゴム製シールまたは金属製シールド板を設置して密封空間にグリースを詰め込むタイプの給脂法である。

充填給脂(補給式)

  • 転がり軸受の摩擦面にグリースを直接充填する方法。手詰め給脂と比較して省力化,信頼性が高い。油量調整が可能。温度,油面高さにより給油量が変化する。

手詰め給脂(補給式)

  • すべり軸受の上部のグリースだめに手でグリースを詰め,グリースが自重によって給脂される方法。グリースは常に容量の1/2以上詰めておく。防塵が必用で,適宜給脂する必要がある。

グリースカップ(補給式)

  • グリース給油器の一種で,ねじ込み式,ハンドル式,スプリング式等があり,グリースに圧力をかけて軸受に圧入する。
  • ○シングルポイント給脂器
     ガス圧式の自動給脂装置。化学反応を利用し,その発生したガス圧で120mLのグリースを最長1年間連続給脂できる給脂器である。
     グリースの圧入に,バネやモータ駆動のポンプでグリースを給脂するタイプもある。

グリースガン(補給式)

  • 潤滑個所の給脂口に装着されているグリースニップルにグリースガンの口を密着させてグリースを圧入する給脂法。圧入方法には,手動,電動,エア等がある。工作機械,建設機械,車両,エレベータ等のメンテナンスに使用される。

機力給脂(補給式)

  • 各給脂個所単位にグリースポンプを持ち,分配弁を介さずに直接給脂する方法。配管は長くなるが,信頼性は高い。定期的な点検が必要となる。

集中給脂(補給式)

  • 1台のポンプで多数の潤滑個所に分配弁を通して一定量のグリースを供給する給脂方法である。設備費が高く,保全費も必要となるなどコストが高くなるが,信頼性は非常に高い。定期的な点検が必要となる。


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最終更新日:2023年5月2日