潤滑油をたくさん使っております。これは時々取り替えるのが正しいのですか。メーカーは定期的に交換すべきだといいますが,我が家の自家用車はエンジンオイルを規定どおりには交換していないがあまり問題はないようです。
解説します。
潤滑油の潤滑作用を減速させる状態は水分の混入と異物の存在で最終的に潤滑油自体の劣化です。
さらに,潤滑油には潤滑作用のほかにも大切な役目があります。たとえば,冷却作用,防錆作用,摩耗粉洗浄作用などです。この役割ができなくなったら交換することになります。したがって,まずこれらを調査することです。これにはサンプルを採取し,分析するという手順があります。
一般には分析専門業者に分析を依頼することになりますが,この分析作業には時間と費用がかかります。とりあえず簡易分析を実施して,その結果で次の処置に移行するのが実際的だと思います。そこで簡易分析の事例を紹介します。
定期的な調査は次の手順で実施する。
1.機械の外観点検
機械回りの汚れ,油の漏洩,油の飛散の有無を調べる。
2.潤滑剤の目視検査
使用中の潤滑剤を機械よりサンプリングする。
●サンプリング要領
使用されている状態のものを図1のようにタンク底から少し上がったところから吸引シリンダーを使用し,500cc程度採取する。
図1 潤滑油サンプリングの例 |
(1)色を観察して,判定基準表により次の項目を診断する
1)劣化状態
2)水分の混入
3)ごみの侵入
(2)潤滑剤をスプーン,灰皿,缶など金属製の器に少量採取して,ライターなどの火で底部より加熱する。
○水分が含まれている時は,プチプチという跳ねる音がする
○残存物を磁石で調べる(金属,劣化物)
(注)ただし,貯蔵タンクが小さいときはこの手順を適宜省略するか,分析なしに定期的に交換するほうが経済的です。この目安は200リッターでしょう。