潤滑油そこが知りたいQ&A

グリース給脂管理 | ジュンツウネット21

グリースのさしわすれが多くて困っております。何か良い方法はありませんか。

解説します。

いくつか原因が考えられます。表1に例を挙げて対策を提案します。

表1 グリース給脂忘れの原因と対策事例
No.
原因
対策
備考
 1  グリース給脂の意味が分かっていない。差してもささなくても変わらないと思っている。 潤滑剤としてのグリースの大切さを再教育してください。 忘れてもすぐには結果が現れないので,危険である。
2 担当者が決まっていない。 大切な役目ですから,場所ごとにグリース給脂担当者を決めてください。気がついた人が実施するでは忘れられます。 誰かがやってくれるだろうという習慣を打破する。
3 給脂箇所,時期,量がはっきりしていない 給脂方法をきちんと決めて,給油脂カレンダーにより,毎日の給脂を指示し,結果を記録させる。なお,給脂の際,気がついた機械設備の不具合は必ず報告させる。処置結果は報告者本人に知らせる。 グリース給脂作業は設備点検のひとつである。
4 グリース給脂がやりくい。給脂穴がはっきりしない。給脂頻度が多い。 給脂をやりやすくする。たとえばパイプをつけて見えるところまで延長し,簡単に給脂できるようにする。 給脂作業はわずらわしいものである。

一方で給脂方法を変更し,人為的ミスを防止する方法があります。そこで表2にグリース給脂方法をまとめておきますので,参考にしてください。

表2 グリース給脂方法の事例
給脂の種類
適用
長所
短所
手差し給脂 低速軽荷重 ○装置が簡単
○給脂量の手加減ができる
○設備点検が同時にできる
○一箇所ごとに最適なグリースを採用できる
○労力がかかる
○グリースの種類を分けた場合はわずらわしい
○さし忘れがある
密封 ○中速中荷重
○ベアリング自体の取替えが頻繁
○一つ一つに正しい給脂量・質が維持される
○取り付け後は手間がかからない
○漏れがなく周囲を汚さない
○密封作業は丁寧に正しく実施しなければならない
○グリース劣化・減少が監視できない
○シールが破損したらすぐ取り替えなければならない
手動集中給脂(エヤーポンプなどの機力を含む) 低速中荷重・高速低荷重 ○自動集中給脂に比べて費用が安い
○一度に全体をカバーできるので,給脂作業が早くて確実である
○給し忘れは大事故となる
○手動ポンプの場合労力を必要とする
○1回の給脂に時間がかかる
自動集中給脂 重要機器・変速高荷重 ○付属機器が増加するので信頼性が向上する
○機器の点検でさし忘れ防止できる
○手の届かない複雑な箇所にも適切に休止できる
○万能グリースを使用することでグリースの種類を統一できる(予備調達が容易)
○高価である
○機器の不具合を見落とすと大きな事故となる
○油種統一のため特殊な潤滑条件を必要とするところは弱くなる(その箇所のみ別の方法で給脂することも考えられる)

(参考)グリース給脂機器については専門メーカーがありますので,相談してください。

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最終更新日:2023年5月2日