潤滑油そこが知りたいQ&A

潤滑油とグリースの使い分け | ジュンツウネット21

潤滑油とグリースはどのように使い分けるのですか。

解説します。

機械設備を設計する上では,基本的な問題です。

したがって,まず,設備機械自体がどのような潤滑条件を必要としているかを把握した上で,潤滑油とグリースについてそれぞれを十分理解することから始まります。しかし,今回はすでに理解されていることを前提に 油潤滑にするかグリース潤滑にするかの一般な判定規準を表1に示します。

表1 油潤滑とグリース潤滑の比較
対象
油潤滑
グリース潤滑
温度 油温90℃まで。軸受温度200℃まで。ただし,特殊な潤滑油であればさらに高温まで使用可能 一般に120℃以下。200/220℃まで使用できるが,取替え周期が短くなる
速度ファクタ(DN) 45~50万まで 30~35万まで
荷重 あらゆる荷重に対応 中荷重
軸受タイプ あらゆるタイプに対応 スフェリカルローラスラスト軸受には不適
ハウジング設計 複雑なシールと給油装置が必要 比較的簡単
長時間メンテナンスフリー運転 不可能 運転条件特に温度にもよるが可能
他の機械要素との兼用 可能 不可能
トルク 循環給油,オイルミストの時,トルクは最も小さい 適当な充填量のときはオイルより小さい
ダスト雰囲気 ろ過装置を付ければ可能 コンタミ防止の特殊設計必要

さらに潤滑給油法を理解することも大切ですので,その種類と特徴を表2に示しておきます。

表2 油潤滑法の種類と特徴
分類
種類
適用範囲
特徴
備考
全損式  手差し 低・中速,低荷重(間歇運転される機械の軸受,摺動部,開放歯車,チェーンなど) 装置が簡単であるが,頻繁給油が必要。ごみの侵入に注意 安価
滴下 低・中荷重の軸受 手差しに比べて人手が省け信頼性が高い。油量調整可能。温度,油面高さにより給油量が変化する  
灯心 低・中荷重の軸受 給油量は灯心の数で調整。温度,油面の高さ,油の粘度により給油量が変化する 安価
機力 高速・高荷重シリンダー,摺動面,プレスの軸受 高圧で適量を正確に給油できる。大量の給油はできない。数十箇所まで集中給油可能 設備費高価
集中(グリース) 低・中速,中荷重 集中化,自動化可能 設備費高価
噴霧
(オイルミスト)
高速ころがり軸受 集中化,自動化可能 保全費高い
エアーオイル 工作機械用精密軸受,高速高精度スピンドル 工作機械用精密軸受,高速高精度スピンドル 集中化,自動化可能。常に新鮮な油を必要微小量供給可能。クーリング効果  
回収式 油浴 低中高速軸受,歯車 多少の冷却効果が期待できる。油面変動により給油量,冷却効果が違う。油面管理が大切 メンテナンスフリー
飛まつ 中小型減速機,中小型往復動圧縮機,内燃機関 多少の冷却効果が期待できる。低速または超高速に不適 メンテナンスフリー
パッド 中速,低・中荷重,鉄道車両,クレーンの車軸軸受,ドラム軸受 給油の煩雑さが避けられる。目詰まりに要注意 安価
リング・ディスク 中速,低・中・高荷重,電動機,遠心ポンプ軸受 かなりの冷却効果。低速回転や高粘度油の使用には注意。縦軸には不適 メンテナンスフリー
循環 大型機械設備用(高速,高温,高荷重) 給油量,給油温度,給油圧力の調整が細かく出来き,信頼性が高い。冷却効果大 高価

ブルカージャパン ナノ表面計測事業部

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最終更新日:2023年5月2日