上司より,油圧作動油の漏れについて,うるさく言われております。しかし,他にもたくさん細かい故障が発生するので,手が回らず困っております。どのように対処したらよいですか。名案がありましたら教えてください。
解説します。
油圧作動油の漏れトラブルについて
面白い事例を紹介します。
同じように設備のメンテナンスを担当しておりますが,出身母体の違うA,B二つのグループの話です。
Aグループは機械設備そのものの現象を捉えて,修理したり,改善したりすることで,メンテナンスの効果を発揮しておりました。
Bグループは,潤滑管理を徹底することで,地道に故障の発生を防止し,メンテナンス効果を狙っておりました。
Aグループに対して,油圧作動油の漏れが問題となり,早急に対処するように命じられておりました。このグループは,修理と改善に追われて,とても作動油の漏れなど見ておられない状況でしたが,あまりうるさく言われるのでやけくそで,当分の間,機械設備のことには目をつぶり,油漏れを徹底的に退治せよとそのグループ長が作業者に命令しました。
6ヵ月が経過しました。Aグループは事故に対しては原因を追究して,対策をたてるのが習慣となっておりますので,作動油の漏れに対しても,ただ漏れを修理するばかりではなく,漏れの原因を追究しました。Bグループに相談したところ,作動油の漏れの根本原因は作動油の汚れであるといわれました。そこで,Aグループは作動油クリーン作戦として,Bグループのリコメンドを得て油圧装置にオフライン洗浄設備を取り付けて,作動油を洗浄しました。この活動の成果は図1に示すとおりです。
図1 フィルターによる作動油浄化の効果 |
図1では,重量法で分かるように,はっきりと汚れは減少しております。さらに図2では,作動油の消費量が減少し,不思議なことに故障件数が同時に減少しております。これは事実です。「なぜ」だかは,皆さんで考えてみてください。
図2 フィルターによる作動油浄化後の作動油消耗量と設備故障件数の推移 |