減速機の歯車から高温が出ております。取り替えたばかりなので,すりあわせが十分できていないと思います。われわれのところにはすり合わせができる作業者がおりますので,やらせてみようと思います。この場合の注意事項を教えてください。
解説します。
減速機歯車温度上昇トラブルについて
取り替えたばかりの場合は,基本的にはメーカーに相談することです。すり合わせだけの問題ではない可能性があります。総合的な診断をお勧めします。
ここでは参考までに,すり合わせの場合の注意事項をいくつかあげておきます。
(1)歯車は両方の山を同時に,削ってはいけません。当たり面を合わせるすり合わせ作業は,何かの基準に対して比較する作業です。次のことを守って仕上げてください。
- 小さい側の歯車に光明丹を塗り,大きい方の歯当たりを仕上げる。
- 同じ径の歯車なら駆動側に光明丹を塗り,従動側の歯当たりを仕上げる。
- 粒度の細かいヤスリで仕上げる。エアサンダーなど粒度の荒いもので仕上げないこと。
(2)歯車のバックラッシュは適正値におさめ,決して0にしてはいけません。歯車をなめらかに回転させる秘訣はバックラッシュであるといわれております。このバックラッシュが適正だと,振動も騒音も少なくなり,もちろん発熱もなく,寿命も延びてきます。バックラッシュの必要な理由は
- 歯車製作誤差に対する逃げ
- 負荷による歯車の変形に対する逃げ
- 軸受箱の製作誤差に対する逃げ
- 潤滑油膜の形成
などが考えられます。したがってこのバックラッシュを0にすると,これらの要求を満たさなくなり,焼付きを発生させることになります。
バックラッシュは,JISで決められた値を使うと良いのですが,簡易的には0.03m~0.05m(m=モジュール)が使われます。測定位置は歯の中央部で,5~6個所程度測定して平均値を使いましょう。
コンディションモニタリングBOX
メーカー別製品一覧
コンディションモニタリング機器の紹介
解説 コンディションモニタリング
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IHI 小林 英夫 - 原子力発電プラントにおける設備診断の現状と課題
東芝 渡部 幸夫 - 鉄鋼プラントにおける設備診断の現状と課題
新日本製鐵 村山 恒実 - 化学プラントにおける回転機設備診断機器の有効な活用法
三井化学 三笘 哲郎 - 化学プラントにおける設備診断の現状と課題
昭和エンジニアリング 里永 憲昭,梶原 生一,山路 信之,三重大学 陳山 鵬 - 地震時のエレベーター自動診断・自動復旧システムの開発
三菱電機ビルテクノサービス 西山 秀樹 - 設備診断技術を設備管理にどう活かすか
新日本製鐵 藤井 彰 - 振動診断のメカニズムと特徴,今後の展望
三重大学 大学院 陳山 鵬 - AE診断法とその特徴,今後の展望
THK 吉岡 武雄 - 超音波診断のメカニズムと特徴,今後の展望
高知工科大学 竹内 彰敏 - 音響診断のメカニズムと特徴,今後の展望
広島大学 大学院 中川 紀壽 - 潤滑油測定のメカニズムと特徴,今後の展望
福井大学 大学院 岩井 善郎