小型振動計 TYPE3116による設備監視 | コンディションモニタリングBOX | ジュンツウネット21

小型振動計 TYPE3116による設備監視 では,アコーが有する振動監視の商品群の中から,小型振動計;TYPE3116の活用方法について紹介する。

株式会社アコー  2007/2

1. はじめに

当社は騒音計を中心とした音響監視,及び振動計を中心とした振動監視の商品群を有している。その中で今回は小型振動計;TYPE3116の活用方法について紹介する。

振動測定の目的には主に2通りある。1つは設備の振動を測定して,設備が良好な運転状態で稼動しているかどうかの監視であり,もう1つは大型設備を運転する事で発生する地面振動が,公害振動の規制に対して問題ないかどうかの判定である。小型振動計;TYPE3116は前者を目的とした振動計であり,測定値は「回転機械及び往復動機械の振動―振動シビアリティ測定器に関する要求事項:JIS BO907」に準拠している。

2. 活用方法

2.1 携帯測定

TYPE3116は次の特長を持ち,設備点検の導入機器として最適な振動計である。

(1)携帯電話並みのミニサイズで現場を巡視する時に常に携帯できる。また片手で操作が可能である。

(2)振動測定値はJIS BO907に準拠しているので,一般的な回転機械及び往復動機械の振動値評価を行うのに最適である。

(3)設備監視の手法はCBM(Condition Based Maintenance)がよく用いられ,再現性のある安定した測定が要求される。TYPE3116はマグネット又はネジによる加速度ピックアップの固定を採用しているため,安定した測定が可能である。
 一般的に設備の表面は振動測定には適さない,荒れた曲面の場合が多く,オプションで準備した測定用スタッド(スチールディスク)をあらかじめ設備の適当な測定個所に取り付けておくとさらに安定した測定が可能になる。

マグネット固定
加速度ピックアップの固定-マグネット固定
ネジ固定
加速度ピックアップの固定-ネジ固定
図1 加速度ピックアップの固定

(4)オプションで準備したヘッドホンを接続する事で設備振動の聴音が可能になり,設備の診断に活用する事で,診断技術の伝承ができる。

(5)振動計で採取した振動データはパソコンに転送後CSVファイル形式で保存されるため,データを自社の設備管理システムに容易に取り込める。

2.2 固定測定

測定の困難な場所や危険な場所をTYPE3116で測定する場合はオプションで準備したコネクターボックスを使って,あらかじめ測定個所に取り付けた加速度ピックアップからの出力ケーブルをコネクターボックスまで集中配線しておくと,振動計をコネクターボックスに接続する事で安全な,効率の良い測定ができる。

TYPE3116が付属の測定用センサとしてプリアンプ内臓型の加速度ピックアップを採用しているため,固定測定用にプリアンプ内臓型の加速度ピックアップを選択する事になり,将来部分的に常時測定に移行する場合,ピックアップはそのまま使用でき余計な費用の発生を防げる。

<事例>

  • 高所にある給水ポンプ
  • ギアボックス中の軸受け
  • 高温排気ファン
  • 防爆エリアにあるタービン
  • 水中にある排水ポンプ
コネクターボックスを使った集中配線

PS :加速度ピックアップ ZB :ツェナーバリア

図2 コネクターボックスを使った集中配線

2.3 常時(オンライン)測定

振動監視を進めていく中で,重要な設備を部分的に常時監視したい場合,固定測定に使用したセンサがそのまま常時測定用のセンサとして流用できる。

その場合の接続例を次に示す。データロガーは測定点の少ない場合は既設の記録計,シーケンサやDCS等の余った入力を利用すると良い。測定点の多い場合はパソコンのUSBを利用したデータ収録装置やネットワークを利用したデータ収録装置等が市販されているので,これらを使って監視システムが構築できる。

常時測定の接続例

VC :振動変換器

図3 常時測定の接続例

2.4 保全計画

工場全体の設備保全計画を立てる場合,設備の重要性や保全性を調査し設備のランク付けを行う。その後で,故障した時のリスクに応じた測定方法を設備ごとに決定し設備監視を進めていくと,効率の良い保全活動ができる。

とりあえず少ない予算で設備監視をスタートするのであれば,対象設備を全て携帯測定で監視し,設備ごとに測定インターバルを決めて測定していけばよい。
 設備のトラブル防止事例が蓄積される中で,その設備に適した測定方法を導入していけばさらに充実した設備監視が可能になる。

3. おわりに

当社においては音響分野においては騒音監視システム等が商品化されているが,振動分野においても今後市場の要望に答え商品を充実させていきたいと考えている。

最終更新日:2023年9月25日