Web版潤滑油そこが知りたいQ&A > 添加剤

Q 添加剤の種類と使用目的

現在市販されている潤滑油には,さまざまな添加剤が混ぜられていると聞きます。添加剤の種類とその使用目的について教えて下さい。

A

潤滑油添加剤の種類は非常に多く,それを機能で分類したのが表1です。このようにいろいろな種類がありますが,なかでも清浄分散剤,粘度指数向上剤,極圧剤,酸化防止剤,流動点降下剤の需要が多いようです。

表1 潤滑油添加剤
添加剤種類 目的および機能 化合物 添加量





油性剤 低荷重下における摩擦面に油膜を形成し,摩擦および摩耗を減少させる 長鎖脂肪酸(オレイン酸など)など 0.1〜1%
耐摩耗剤 摩擦面で二次的化合物の保護膜を形成して摩耗を防止する りん酸エステル,金属ジチオホスフェート塩など 5〜10%
極圧剤 極圧潤滑状態における焼付きやスカッフィングを防止し,潤滑油の潤滑性能を向上させる 有機いおう化合物,有機ハロゲン化合物,有機モリブデン化合物
さび止め剤 潤滑油にさび止め性を付与し,金属製品などの保管,輸送,保守における一時的なさび止めをする カルボン酸,スルホン酸塩,りん酸塩,アミン,アルコール,エステルなど 0.1〜1%
腐食防止剤 潤滑油の酸化防止および腐食性酸化生成物の破壊,抑制
金属表面における防食被膜を形成する
窒素化合物(ベンゾトリアゾールなど),いおうおよび窒素を含む化合物,ジアルキルジチオりん酸塩 0.4〜2%
あわ消し剤 潤滑油などのあわ立ちを抑制し,消泡作用をする シリコーン油,金属石けん,エステル類,シリケート 1〜100ppm




清浄剤 エンジンなどの高温運転で生成する沈積物およびこれの出発物質などを取り除きエンジン内部を清浄にする 中性,塩基性のスルホネートおよびフェネート,ホスホネートなど(金属塩型) 2〜10%
分散剤 カーボンおよびスラッジとして沈積する物質を懸濁分散する こはく酸イミド,エステルおよびベンジルアミン,共重合系ポリマーなど(無灰型)
流動点降下剤 低温における潤滑油中のろう分の結晶固化を防止し,流動点を低下させる 塩素化パラフィンとナフタレンまたはフェノールの縮合物,ポリアルキルアクリレートおよびメタクリレート,ポリブテン,ポリアルキルスチレン,ポリ酢酸ビニルなど 0.1〜0.5wt%
粘度指数向上剤 マルチグレード油や作動液などの粘度指数を向上させる ポリメタクリレート,ポリイソブチレン,オレフィン共重合体,ポリアルキルスチレンなど 2〜10%
酸化防止剤 燃料油添加剤の項と同じ チオりん酸亜鉛,アミン類,フェノール類 0.1〜1%
乳化剤 油を乳化し,生成したエマルションを安定化する 石けん,硫酸およびスルホン酸エステル,脂肪酸誘導体,アミン誘導体,第四級アンモニウム塩,ポリオキシエチレン系の活性剤など 〜3%
抗乳化剤 エマルションを破壊し,その構成成分に分離する 第四級アンモニウム塩,硫酸化油,ポリオキシエチレン系の活性剤など
かび防止剤
(エマルション用)
エマルション中に生存する細菌,かび,酵母などの微生物が起こす障害作用を抑制および防止する フェノール系化合物,ホルムアルデヒド供与体化合物,サリチルアニリド系化合物など 〜0.1%
その他の添加剤 ステイン防止剤,Anti-chatter剤,Anti-squawk剤
 資料:石油製品添加剤

潤滑油添加剤の油種別用途を示したのが表2です。

表2 潤滑油添加剤の一般的用途
  種類 清浄分散剤 酸化防止剤 粘度指数
向上剤
流動点
降下剤
極圧剤 さび止め剤 あわ消し剤
油種  
エンジン油 ガソリン  
ディーゼル    
舶用エンジン油  
ギヤー油  
作動油 一般      
耐摩耗性  
航空    
絶縁油            
スピンドル油          
冷凍機油            
タービン油  一般        
耐摩耗性       
 △印:添加することがある。(合成潤滑油その他を省略)
 資料:石油製品添加剤

添加剤には総合型と単発型があり,総合型はパッケージタイプとも呼ばれ,潤滑油の性状,性能を改良するに当たってその要求を満たすために,要求性能の複数以上を満足させるように処方された添加剤の総称です。

単発型はコンポーネントタイプとも呼ばれ,粘度指数向上剤などに代表されるように,本来,製油技術ではこれ以上は経済的に限界に達していると思われる性能を,ある種の添加剤を加えて積極的にその性能の改善改良をはかろうとするものです。

最近,潤滑油はますます高級化の傾向にあり,エンジンオイルを主体にパッケージタイプの比重がコンポーネントタイプにくらべて高まっています。

添加剤は高級潤滑油を主体に添加されていますから高級潤滑油の需要推移と連動します。従来,潤滑油は高品質化,高性能化の追求路線を走って来ましたが,ここにきて多少ニュアンスが違ってきたようで,相応の品質が保持されれば低価格品でもという傾向も出始めているようです。それに,資源エネルギー庁がまとめている潤滑油の内需見通しでもここ数年現状維持か微増程度の推移とみているようです。


<参考文献>
桜井俊男編著 石油製品添加剤 幸書房


コンテンツ一覧

Web版潤滑油そこが知りたいQ&A カテゴリ