現在市販されている潤滑油には,さまざまな添加剤が混ぜられていると聞きます。添加剤の種類とその使用目的について教えて下さい。
解説します。
潤滑油添加剤の種類は非常に多く,それを機能で分類したのが表1です。このようにいろいろな種類がありますが,なかでも清浄分散剤,粘度指数向上剤,極圧剤,酸化防止剤,流動点降下剤の需要が多いようです。
表1 潤滑油添加剤
資料:石油製品添加剤 |
潤滑油添加剤の油種別用途を示したのが表2です。
表2 潤滑油添加剤の一般的用途
油種 | ||||||||
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エンジン油 | ガソリン | |||||||
ディーゼル | ||||||||
舶用エンジン油 | ||||||||
ギヤー油 | ||||||||
作動油 | 一般 | |||||||
耐摩耗性 | ||||||||
航空 | ||||||||
絶縁油 | ||||||||
スピンドル油 | ||||||||
冷凍機油 | ||||||||
タービン油 | 一般 | |||||||
耐摩耗性 | ||||||||
印:添加することがある。(合成潤滑油その他を省略) 資料:石油製品添加剤 |
添加剤には総合型と単発型があり,総合型はパッケージタイプとも呼ばれ,潤滑油の性状,性能を改良するに当たってその要求を満たすために,要求性能の複数以上を満足させるように処方された添加剤の総称です。
単発型はコンポーネントタイプとも呼ばれ,粘度指数向上剤などに代表されるように,本来,製油技術ではこれ以上は経済的に限界に達していると思われる性能を,ある種の添加剤を加えて積極的にその性能の改善改良をはかろうとするものです。
最近,潤滑油はますます高級化の傾向にあり,エンジンオイルを主体にパッケージタイプの比重がコンポーネントタイプにくらべて高まっています。
添加剤は高級潤滑油を主体に添加されていますから高級潤滑油の需要推移と連動します。従来,潤滑油は高品質化,高性能化の追求路線を走って来ましたが,ここにきて多少ニュアンスが違ってきたようで,相応の品質が保持されれば低価格品でもという傾向も出始めているようです。それに,資源エネルギー庁がまとめている潤滑油の内需見通しでもここ数年現状維持か微増程度の推移とみているようです。
<参考文献>
桜井俊男編著 石油製品添加剤 幸書房