静・動摩擦測定機「TL201Tt」 潤滑剤摺動特性とタック性評価 | 摩擦摩耗試験分析BOX | ジュンツウネット21

トリニティーラボの静・動摩擦測定機「TL201Tt」を紹介します。今回は潤滑剤摺動特性とタック性評価を行いました。サンプルには,10W40の未使用のエンジンオイルと走行5,000kmのエンジンオイルを用いました。

株式会社トリニティーラボ 2019/12

はじめに

 潤滑剤のトライボロジー評価を行う際,多くはピンオンディスクあるいはボールオンディスクを用いて長時間の摺動特性のデータを収集している.

 今回は,静動摩擦測定として,静止状態から設定速度に到達して定速度領域での動摩擦係数およびスティック&スリップ状態を把握し得る動摩擦波形の標準偏差値を測定した.サンプルには,10W40の未使用のエンジンオイルと走行5,000kmのエンジンオイルを用いた.また,エンジンオイルの粘度にも関連するタック性の評価も行った.

測定機の概要

 前述の測定には,静・動摩擦測定機「TL201Tt」を使用した.この測定機は,測定ユニット,測定ユニットベース,駆動ユニット,測定テーブルの各種ユニットから構成されている.これらユニットの組み替えにより,静・動摩擦測定を行ったテーブル移動構成(図1),タック性評価を行ったタックユニットを用いた構成(図2)にて,測定を行った.

静・動摩擦測定を行ったテーブル移動構成

図1

タック性評価を行ったタックユニットを用いた構成

図2

 測定データは,トライボ解析ソフトで処理を行った.この解析ソフトでは,静摩擦係数の表示,指定範囲内の平均動摩擦係数と標準偏差値を表示させることができる.また,摩擦係数の表示以外のモードでは,応力表示も可能となっている.タック性測定では,このモードでデータを収集した.

測定データ

(1)静・動摩擦測定

 ステンレス板にサンプルを滴下させ,Φ6mmのステンレスボールで,点接触させて100gの荷重にて,測定を行った.摺動速度は10mm/secに設定して,静止状態からこの速度に到達する時間を0.2secに設定した.静摩擦係数をより精度良く収集するためにA/D変換速度を1m secとした.

 常温測定,200℃加熱測定において,未使用エンジンオイルの静摩擦係数,平均動摩擦係数ともに低い数値を示した.本実験では,設定速度に達する立ち上り時間を0.2secのみで行った.そのため,静摩擦係数がシャープに発生,記録された.使用した静・動摩擦測定機「TL201Tt」は,立ち上り時間を0.1~2secまで設定することができるため,速度変動における動摩擦係数の測定も可能となっている.

【測定条件】

サンプル 10W40 エンジンオイル
接触部材 SUS304 板
SUS304 Φ 6mm ボール
摺動速度 10mm/sec
立ち上り時間 0.2sec
測定荷重 100g
測定距離 30mm
収集速度 1m sec(A/D変換)
サンプル温度 常温・200℃

静・動摩擦測定

未使用/走行5000km oil・Φ6mm ボール 常温
【未使用/走行5000km oil・Φ6mm ボール 常温】

 
静摩擦係数
平均動摩擦係数
未使用
0.172
0.110
走行 5000km
0.261
0.182

未使用/走行5000km oil・Φ6mm ボール 200℃
【未使用/走行5000km oil・Φ6mm ボール 200℃】

 
静摩擦係数
平均動摩擦係数
未使用
0.136
0.081
走行 5000km
0.270
0.163

(2)タック性測定

 ステンレス板にサンプルを滴下させて,Φ20mmのステンレス面接触子で,10g,2秒間面接触させて,ステンレス面接触子を引き上げた時のタック応力を測定した.タック応力のピークをより精度良く収集するためにA/D変換速度を1m secとした.

 エンジンオイルのタック性測定では,未使用のタック応力が高い数値が示された.これは,不純物が少なく,粘度が高いことが予測できる.

おわりに

 潤滑剤の評価として,ミクロ的な摺動立ち上り特性を加味した静・動摩擦係数測定とタック性の数値を併用することにより,きめ細やかな解析が可能となることを期待する.

【測定条件】

サンプル 10W40 エンジンオイル
接触部材 SUS304 板
SUS304 Φ 20mm 面
摺動速度 2mm/sec
立ち上り時間 0.2sec
加圧 10g
加圧時間 2sec
収集速度 1m sec(A/D変換)
サンプル温度 常温

タック性測定

未使用oil・Φ20mm 面接触子 常温
【未使用oil・Φ20mm 面接触子 常温】

走行5000km oil・Φ20mm 面接触子 常温
【走行5000km oil・Φ20mm 面接触子 常温】

 
タック応力ピーク
未使用
106.51gf.
走行 5000km
77.67gf.

おわりに

 潤滑剤の評価として,ミクロ的な摺動立ち上り特性を加味した静・動摩擦係数測定とタック性の数値を併用することにより,きめ細やかな解析が可能となることを期待する.

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    最終更新日:2024年2月29日