オートマックスの低速滑り摩擦試験機(LVFA)/SAE #2試験機/シンクロナイザリング単体試験装置とトライボロジー試験装置の動向推移などを紹介する。
はじめに
何故,実試験評価が必要なのか。これは,信頼性能および安全性を確認するうえで,最も的確な手法として,その実証検証が必要不可欠なことを意味している。つまり,その製品があらゆるシチュエーションにおいても,安定状態が維持できる限度をあらかじめ確認しておくうえで必要な作業の1つになっている。これは,机上で論議しているだけでは,ある論点より先となると推測の世界となってしまい,正確に結論へと導けないことも意味するものである。コンピュータシュミレーション技術が今後さらに飛躍的に発展したとしても,実試験評価は必要であることを意味している。しかし,いくら実試験を積み重ねたからといって,最適な1つの答がそこにあるかは誰にも解らない。とはいえ,製品設計製作および品質維持確認用として,最適解を求めるためのニーズにあった試験設備は必要不可欠である。
ここで,試験装置をご提案ご提供させて頂いてきたものとして,試験装置の一般論をまとめてみた。
トライボロジー試験装置の動向推移
初期の試験装置は,特定形状部材を専用形状として用いていたものが多かった。その後,自動車産業等の飛躍的発展とともに,特定部材評価からより現実状態を直接判断しやすいものへとの判断もあり,実機使用部品による直接評価へと推移していった。さらに,評価基準および評価試験方法や評価規定が実機での状態再現の近似化へと向かったこともあり,単一試験条件での連続負荷試験方法から,各種条件を組み合わせる多機能条件試験での評価を組み合わせた連続試験方法へと変化していった。
試験評価の変遷に伴い,単一試験条件だけでなく,各種条件下による試験評価もできるような試験装置への要望が高まったことを受け,試験装置は多機能化へと進んだ。また,この当時よりパーソナルコンピュータ(PC-98機)の汎用化が進んだこともあってこのパーソナルコンピュータを組み合わせることで,これらの多機能試験に適応できる試験装置へ機能向上化が進んでいった。このようなこともあり,現在ではパーソナルコンピュータ組み合わせだけではなく,高機能化したシーケンサなどを組み合わせることでも多機能化した試験条件による試験評価運用を可能としてきている。また,PCの高速演算機能を生かすことで,摩擦係数の瞬時演算をはじめ,試験データ評価を短時間でさらに高精度で的確に解析処理が行えるようになったことのメリットは計り知れない効率向上につながったものと思われる。
今後も,PCの高速演算や多機能演算機能を効率的に活用することで,さらなる試験装置の使用における改革改善を図っていくことで,各位殿のご研究のお役に立てれば幸いである。
標準試験対応の試験装置
弊社のトライボロジー試験関連装置として,数多くの製品を販売させて頂いてきてはいるが,この中でも主に次の3種類の試験設備が世界的にも一般的である。
(1)低速滑り摩擦試験機(LVFA)
本装置(写真1)は,JASO M 349-2001試験を行うことができる装置であり,広く認知されている。試験用プレートは,実機使用品サイズを用いてあり,安定運用が可能なものとなっている。
写真1 |
(2)SAE #2試験機
本装置(写真2)は,JASO M 348-2002試験を行うことができる装置であり,広く認知されている。試験用プレートは,実機使用品サイズを用いてあり,安定運用が可能なものとなっている。
写真2 |
(3)シンクロナイザリング単体試験装置
本装置(写真3)は,マニュアルトランスミッションの主要機構部品の試験を行うことができる装置であり,広く認知されている。近年のDCTやAMTの普及に伴い,本装置での試験が注目されてきている。試験用部品は,実機使用品を用いてあり,安定運用が可能なものとなっている。
写真3 |
これらの試験装置は,日本に限らず,JASO試験に対して注目している海外のユーザにも販売展開をさせて頂いている。
特殊対応の試験装置
標準試験では,主に連続回転状態による評価が大半を占めている。しかし,この回転動作だけでなく摺動動作する部位も多く見られる。また,回転と摺動動作を組み合わせた複合動作するところもある。そのため,このような動作環境状態を模擬した専用装置の製作運用が望まれている場合もある。
その一例をあげると,高速回転状態,高周波加振状態,高負荷状態,特殊環境下での評価などがある。この場合は,カスタマイズした試験装置と成らざるを得なくなり,専用試験装置へとなっている。
今後の展望
近年は潤滑特性等の機能および性能が著しく改善向上されたことに伴い,試験評価に要する時間が,これに比例するように長期化してきている。そのため,試験評価をさらに短期間とするための評価試験の加速化のご要望も高まっていることもある。しかし,加速手法の1つでもある試験条件を厳しくする加速方法では,実際の使用状態から乖離することもあり,容易ではない。摩擦摩耗形態の変更による対応でも,容易ではないことは周知の事実である。ここに,試験装置構築の難しさが潜んでおり,試験装置の構築に最も頭を悩ますところでもある。また,近年は環境と省エネなどがキーワードでもあり,試験装置でも積極的に取り組んでいかなければならない。
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