速度変動摩擦測定機 μV1000 | 摩擦摩耗試験分析BOX | ジュンツウネット21

トリニティーラボの「速度変動摩擦測定機μV1000」について,測定機の概要,機能,測定データなどを紹介する。

株式会社トリニティーラボ 2010/5

はじめに

我々は,日常生活において環境への快適を求めている。この快適を害するものとして異音,振動が挙げられる。これらは,時として精神的にも肉体的にも害を及ぼす可能性がある。この異音,振動は,物質間の摺動による摩擦に起因することが多い。

機械摺動部材の条件(接触荷重)が同じであっても摺動速度が変化すると異音や振動を発することがある。例えば,自動車のワイパーは,常に同じ荷重でフロントガラスに接触しているが,これを動かして雨滴を拭い取る際,速度によって,フロントガラスを飛び跳ねるような現象(スティックスリップ)が起こることがある。これは,速度変動により摺動特性が変化するためである。

これらの現象を解明するために部品,潤滑,表面処理などの分野で速度変動摩擦特性(μ-V特性)の研究が行われている。

測定機の概要

一般的には,直線摺動での速度変動摩擦特性を測定するには,毎回速度を変えて各速度の摩擦データを収集する必要があり,非常に手間を要するものである。

TRILAB速度変動摩擦測定機「μV1000」(図1)は,この手間を省き,一連動作で0.1~100mm/sまで1000:1の可変速度範囲で,最大7段階(step)の速度で摩擦データを一度に収集することを可能とした。

TRILAB速度変動摩擦測定機「μV1000」
図1

「μV1000」は,東北大学大学院工学研究科 堀切川研究室との共同研究により商品化された。

機能

「μV1000」は,速度変動の摩擦特性を簡便に測定するに当たり,摺動距離(1~200mm),速度(0.1~100.0mm/sec)を任意に最大7段階(step)まで設定することができる。図2は各設定を行うタッチパネルである。

「μV1000」のタッチパネル
図2

測定形態としては,移動テーブルに試験片を設置して,接触相手材としてボール,ピン等,あるいは,形状によっては,試験片を取り付けることができる。接触相手材を取り付けた状態で,天秤機構のウェイトバランスを取り,組分銅を載せることにより測定垂直荷重を与えることができる。摺動回数は,1~1000回(pass)まで設定できる。測定は,一方向のみで復路(Reverse)時には,接触相手材は,自動ピックアップされる。したがって,測定摺動が一方向のため,測定終了後,摺動面の観察には有効である。測定したデータは,TRILABトライボ解析ソフトで,波形,静摩擦係数,平均動摩擦係数,波形標準偏差値等をPC上に表示させることができる。データは,CSV形式で保存される。

測定データ

ステンレス板と鋼球との組み合わせで,無潤滑剤,潤滑剤塗布の各状態で測定を行った。測定条件は,下記のとおりである。

垂直荷重:100g
摺動速度/距離:
 1step 0.1mm/s 4mm
 2step 0.5mm/s 8mm
 3step 1.0mm/s 8mm
 4step 5.0mm/s 20mm
 5step 10.0mm/s 20mm
 6step 50.0mm/s 40mm
 7step 100mm/s 100mm
摺動回数:10回(pass)
図2参照)

上記の条件でのTRILABトライボ解析ソフトで収集したデータを図3に示す。

TRILABトライボ解析ソフトで収集したデータ
図3

波形は,stepごとの7ブロックに分けて,各摺動回数(pass)を重ね書き表示される。上部表には,各step,各摺動回数(pass)での静摩擦係数,平均動摩擦係数,標準偏差値が,最下列には,各stepの平均値が表示される。

測定データをまとめたものを図4図5に示す。動摩擦係数においては,潤滑剤塗布した試験片は,1passと10passの相違はあまり見られなかったが,無潤滑剤においては,高速になるほど動摩擦係数が上昇しているのが分かる。これは,試験片面の摩耗痕によるものである。step6(50mm/s)では,各データともに動摩擦係数が減少していることが分かる。この動摩擦係数測定時の標準偏差値を見ると摺動速度とともに上昇している。しかし,各測定データともにstep6(50mm/s)で最大値を示している。Step6では,動摩擦係数が低下し,標準偏差値が上昇していることに注目したい。

平均動摩擦係数
図4
動摩擦領域の標準偏差
図5

おわりに

TRILAB速度変動摩擦測定機μV1000は,短時間に速度変動(μ-V)特性を把握することができる。各摺動速度での静摩擦係数,動摩擦係数だけでなくすべり波形の山谷(標準偏差値)のデータも含めすべりの解析をすることにより,きめ細やかな摺動特性を得られると確信している。

今後,我々の周囲から異音,振動がなくなり快適な生活ができることを期待する。


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    最終更新日:2024年2月29日