SRV(R)5振動摩擦摩耗試験機 アプリケーションベースの振動摩擦摩耗支援の業界標準 | 摩擦摩耗試験分析BOX | ジュンツウネット21

パーカー熱処理工業が販売する,独オプチモール・オルウェーク社「SRV(R)5振動摩擦摩耗試験機」の概要を紹介する。

パーカー熱処理工業株式会社 2013/4

はじめに

SRV(R)試験機は,特殊潤滑剤メーカーである独オプチモール・オルウェーク社の開発ツールとして1965年に誕生した。それから数十年にわたり,現場における問題を分析することで蓄積した専門知識と技術的な経験を活かし,この試験機のシステムを開発してきた。そして,今日,摩擦摩耗の試験のモデルテスト環境として業界標準となり,世界の多くの会社で採用されている。自動車や工業用潤滑剤の業界では,サプライヤーに対し,要求仕様に対する性能基準の達成を示す指標としてSRV試験を要求するところが多い。また,特許(品)取得に関連する試験方法にもSRV(R)が多く採用されている。

SRV(R)は,今まで難しかった複雑な摩擦摩耗プロセスをモデル化するツールを生み出し,摩擦摩耗メカニズムの調査と原因究明のために必要とされるシミュレーション,測定,評価を一体化したSRV(R)試験機を開発した。この一体化された同試験機を利用することで,摩擦摩耗試験の効率を上げ,開発期間の短縮と費用低減を実現する。同試験機は,摩擦摩耗試験データの再現性が優れていることから,潤滑グリースの極圧性に関する試験を定めたASTM D5706や,潤滑油の潤滑特性の評価法を定めたDIN 51834-2などの標準試験機として採用され,国内外の多くの機関で利用されている。

SRV(R)5振動摩擦摩耗試験機の概要

SRV(Schwingungs Reihungund Verschleiss)(R)試験機(写真1)とは,振動摩擦摩耗試験機のことをいう。摩擦摩耗試験機は,一般的に試験片同士がどのように相対運動するかによって分類される。同試験機は往復動型すべり摩擦摩耗試験機の一種で,短距離を高速で振動的に摺動させる試験に使うものであり,潤滑油の基油および添加剤のスクリーニングや様々なトライボマテリアルの開発などに多く使われている。

SRV(R)5振動摩擦摩耗試験機
写真1 SRV(R)5振動摩擦摩耗試験機

同試験機は,ボールオンプレート型の摩擦摩耗試験機構を持ち,その摩擦機構である。上部試験片(玉,ころ,ピン)を下部試験片(プレート)に垂直に押し付けながら,水平に往復運動(振動)させ,すべり摩擦の状態を発生させる。

オプチモール社は,多くの独創的な革新によってSRV(R)試験機を継続的に改良してきた。SRV(R)5の開発によって,継続的に品質保証と開発プロセスの最適化を実現する摩擦摩耗試験の理想的な環境を提供可能となった。利用者に以下の利点が加えられた。

【自動化の効率性】

  • 新A-POS*1(図1)による試験片の自動配置
  • 試験工程中,自動A-FA*2形式アシステント(図2)により2つの物質までの相乗効果試験を実施可能
新オプション:A-POS
図1 新オプション:A-POS
新オプション:A-FA
図2 新オプション:A-FA

【快適な接続性】

  • 専門家は,異なる部門にいながら,最適に接続することが可能
  • 複雑な作業は,結果をオンラインで入手することで効率的に解決可能
  • 複数の場所から遠隔操作で装置を制御可能。工程データはネットワーク上で参照可能

【ユーザーの利便性向上の新しい側面】

  • タッチスクリーンで試験機を直感的に操作可能
  • 統合的双方向ヘルプ機能を利用可能
  • 任意の言語を選択,また操作中に変更可能<
  • カセットを使用して試験負荷範囲の自動変更
  • 自動負荷キャリブレーション*3の利点

【改善された評価オプション】

  • 完璧なグラフィック表示で効率的に測定値を評価
  • 結果を三次元表示
  • 試行から簡単にリポートを生成
  • すべての関連した測定データをオンラインで表示
  • 20までの測定チャンネルを使用

【実践的なシミュレーション時でのさらなるフレキシビリティ】

  • 拡大した試験チャンバーのための鋼製部品をフレキシブルに設置
  • 第2周波数の外乱変数シミュレーション
  • 耐久性,摩耗およびピッチング調査のためのオシレーション*4およびローテーション*5での新しい動作パターンの利点
  • 新しく開発された回転オプションを用いてローテーションを逆にすることで,大きなストロークを実行
試験チャンバーオシレーション
図3 試験チャンバーオシレーション
試験チャンバーローテーション
図4 試験チャンバーローテーション

【コンビドライブの新しいシミュレーションオプション】

  • 1つの試験装置でオシレーションおよびローテーションを統合(サンドイッチ構造)
  • 1つの試験装置でお互いに平行である2つの振動摩擦摩耗接触を調査

【最新品質保証システム】

  • 調整されたSRV(R)オシレーションおよびローテーション装置で試験を実行
  • 標準キャリブレーション要件に準じたキャリブレーションを実行

また,SRV(R)5は,表1のオプションにより,摩擦・摩耗試験のテスト環境に最大限のフレキシビリティを提供できるようになった。

表1 
 
オシレーション
ローテーション
 基本的な装置構成
デュアルモーション
ソフトウェア
 シミュレーション
給油循環用ポンプ
ガスの手動投入
負荷オプション 25~2500N
バリオブロック
 
50オシレーション動作パターン
 
ローテーション動作修正  
外乱変数をシミュレートする変調周波数の導入
 
低速の周波数範囲 10~0.001Hz
 
コンビドライブ(1つの試験装置でオシレーションおよびローテーションドライブ,および半径変位が使用される)
 測定評価
試験片間電気抵抗測定
テスト中の線摩耗測定
摩擦間近試験片表面温度測定
試験チャンバー内湿度温度測定
試験片間騒音放射測定
試験後の試験片表面粗度測定
オシレーションおよびローテーションモジュールのドライブ信号解析
HAS高解像度信号解析
 
自動負荷キャリブレーション用センサー

*1 A-POS:完全自動試験片配置方式
*2 A-FA:完全自動フォームレーション・アシスタンタ
*3 キャリブレーション:校正の意味で,計測機器の隔たりを基準量によって正す。
*4 オシレーション:プログラムされた周波数,ストロークおよび荷重設定により振動される。試験片接触は点,線,面で,多くの試験片接触帆法が可能。
*5 ローテーション:ローテーションモーターと,トルクと摩耗を計測する多チャンネルセンサーからなる。玉,ころ,ピンなどの上部試験片をアダプターを使用して装置に固定し,下部試験片との摩擦モーメント,摩擦力を測定する。


○パーカー熱処理工業
金属のあらゆるニーズに応える金属熱処理総合企業

http://www.pnk.co.jp/


○新東科学
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摩擦摩耗試験機,高性能ナノインデンテーションシステムなど

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    最終更新日:2024年5月21日