摩擦摩耗試験の目的と方法 | 摩擦摩耗試験分析BOX | ジュンツウネット21

摩擦摩耗試験の目的と方法では,各種摩擦・摩耗試験の目的と試験方法を解説する。

試験の項目
規格
摩擦・摩耗試験ASTM G99-05,JIS R 1613-1993,JIS K 7218-1986,ASTM G77-05,ASTM D2714-94(2003),ASTM D3704-96(2006),ISO 20623:2003,ASTM D2266-01,ASTM D2596-97(2002)e1,ASTM D2783-03,ASTM D4172-94(2004)e1,ASTM D5183-05,ASTM F2161-01,JIS K2519,ASTM D2625-94(2003),ASTM D2670-95(2004),ASTM D3233-93(2003) など
キャビテーション・エロージョンコロージョン試験 
軸受試験 
歯車試験 
シール材試験 
エンジン試験JASO M 328-1995,JASO M 336-1998,JASO M 354-1999,JASO M 340-92,JASO M 341-92 など
クラッチ・ブレーキ試験 
油圧機器試験 

摩擦・摩耗試験

一対の試験片を一定の荷重と速度のもとで摺動面させ,このときの摩擦力を計測するとともに,所定距離摺動後の摩擦量を測定することによって行う試験。摩擦係数の測定方式には,歪ゲージやロードセル,回転トルク計などで摩擦力を直接計測する方法,駆動モータの負荷電力から変換して求める方法,振り子式摩擦試験機のように摩擦による振動減衰挙動から求める方法,斜面上においた物質が滑り出す角度から最大静止摩擦力を求める方法などがある。

(a)ピンオンディスク式 ボールオンディスク式

試験台に固定された平板試料(ディスク)の表面でピンを回転摺動させ,その際の動摩擦係数を測定する試験方法。ボールオンディスク方式はピンオンディスク方式と比較すると,点接触から摩擦を開始するために当たりを出しやすいという長所がある一方で,ボールの摩耗に伴って接触面積が増加するために試験中に面圧が変化するという短所もある。

関連標準:ASTM G99-05,JIS R 1613-1993
JISでは構造用ファインセラミックス材料の耐摩耗性評価(JIS R 1613-1993)として,ボールオンディスク方式を規定している。

ピンオンディスク式 ボールオンディスク式

(a)ピンオンディスク式 ボールオンディスク式

(b)ボールオンディスク式

ピンオンディスク式に往復動運動を加えた試験方法。

関連標準:ASTM G99-05,JIS R 1613-1993
標準化された試験方法としてはASTM D5706,ASTM D5707,ASTM D6425などがあり,ドイツのOptimol社製SRV試験機がこれに準拠している。SRV試験機は主に潤滑油添加剤の摩擦特性評価用に開発されたもの。

ボールオンディスク式
(b)ボールオンディスク式

(c)スラストシリンダー式

円筒の端面を平板試験片に押し付ける面接触方式で,摩擦の進行によっても接触面積が変化しないため,すべり軸受けなどの焼付き荷重の評価などに適用される試験方法。日本では鈴木式とも呼ばれ,プラスチック系材料の摩擦試験方法としても使われている。

関連標準:JIS K7218
鈴木式とも呼ばれ,プラスチック系材料の摩耗試験方法としてJIS規格(JIS K 7218-1986)で規定されている。

スラストシリンダー式
(c)スラストシリンダー式

(d)ブロックオンリング式

円筒側面にブロック試験片を押し付けて摩擦を行う試験。摩擦開始直後は線接触であるが,ブロック試験片の摩耗に伴い面接触になるため,摩耗進行に伴い摩擦荷重が変化するという点でボールオンディスク方式と同様の問題がある。

関連標準:ASTM G77-05,ASTM D2714-94(2003),ASTM D3704-96(2006)
潤滑下での摩擦・摩耗特性評価方法としてASTM規格(ASTMG77-05)が規定されており,FALEX-LFW1試験機がこれに準拠している。

ブロックオンリング式
(d)ブロックオンリング式

(e)四球式(曽田式あるいはシェル式)

主に,潤滑下での焼付き特性評価に用いられる試験方法であり,4個の同一寸法の鋼球をピラミッド形に積み上げ,下の3個を固定し,試料に浸せきし,上の1個を押し付けて回転させる潤滑剤の耐荷重性能を評価する試験。供試する試験剛球の大きさが曽田式は3/4インチ,シェル式は1/2インチである点が異なる。

関連標準:ISO 20623:2003,ASTM D2266-01,ASTM D2596-97(2002)e1,ASTM D2783-03,ASTM D4172-94(2004)e1,ASTM D5183-05,ASTM F2161-01,JIS K2519

四球式(曽田式あるいはシェル式)

(e)四球式(曽田式あるいはシェル式)

(f)ピン・ブロック式

主に潤滑下での焼付き特性評価に用いられる試験方法であり,FALEX Pin and Vee Block試験機が代表的な試験装置である。

関連標準:ASTM D2625-94(2003),ASTM D2670-95(2004),ASTM D3233-93(2003)

ピン・ブロック式
(f)ピン・ブロック式

キャビテーション・エロージョンコロージョン試験

コロージョン(腐食)試験は,(1)表面観察,質量損失や腐食深さ (2)水溶液中で腐食電位と腐食電流 を測定する。
 キャビテーションエロージョン(壊食)試験は,材料の表面の損傷具合や重量減少から耐キャビテーション性を測定する。

試験方法

コロージョン(腐食)には,(1)浸漬試験法 (2)電気化学的試験法 などがある。

キャビテーションエロージョン(壊食)には,(1)ベンチュリー管法 (2)ジェット法 (3)回転同板法 (4)磁歪振動法 などがある。

※キャビテーション・エロージョンとは,液体の圧力が蒸気圧以下に低下するとキャビテーション気泡が発生し,圧力が再び蒸気圧以上に回復すると気泡が崩壊し,その時に発生する衝撃圧力によって材料表面が損傷される現象。船のプロペラ,水車,ポンプ,ジャーナル軸受やスラスト軸受で負圧部にキャビテーションが発生し,油膜圧力の回復する位置にコロージョン(腐食)が発生する。

軸受試験

軸受は大別して転がり軸受とすべり軸受がある。転がり軸受とすべり軸受とでは,求められる性能が異なり,その結果,試験によって測定するパラメータも異なるため,別々の試験装置が用いられる。

試験方法

製造寸法や回転の正確さを求める精度試験のほか,摩擦試験,音響・振動試験,温度上昇試験,摩耗試験,寿命試験などがあり,基礎的な性質を求める試験から実用条件における性能を求める応用試験まで数多くの種類がある。

また,その目的に応じて試験片による基礎試験,モデル軸受試験,原寸軸受試験,実機の短時間試験および長時間試験の各段階あるいはそのいくつかを行う。

軸受試験には,軸受の形状,寸法,材質の試験と,運転性能,耐久性,寿命などの軸受性能の試験があるが,前者の個々の試験だけでは不十分な場合が多く,普通,後者の軸受試験を重視し,これを詳細に行って軸受の性能を判定する。

運転性能試験では,摩擦特性,温度上昇,耐焼き付き性などを調べるのが普通であるが,油膜圧力分布,油膜厚さ,潤滑油量を測ることもある。

歯車試験

歯車の負荷能力,潤滑特性,振動・騒音,回転伝達精度,効率などを調査するための試験である。

歯当たり検査

最終的に組み立てた歯車装置,あるいは組み立て状態を設定できる試験台にて一方の歯面に適当な厚さの塗料を塗り,相手歯車をかみ合わせて回転させた際に,相手の歯面に塗料が付着した状態を見る方法。

歯車強度試験

動力循環式,動力吸収式などの方法があり,ピッチング,スポーリング,スコーリングなどの歯車損傷に対して,歯面性状,潤滑油(潤滑油添加剤含む)がこれらの損傷に及ぼす影響について試験する。

歯の曲げ強さについては上記でも調べることができるが,パルセータ試験を用いることが多い。

効率測定

負荷をかけて効率を測定する方法として上記の動力循環式(試験機を駆動するときのモーターの出力を測定し,両歯車対,軸受等を含めた損失が求められる。),動力吸収式(歯車装置の入力側のモーターと出力側の発電機の両者の電力を計測)がある。

試験歯車部のみの損失量を知りたい場合には,損失熱を測定する油浸法がある。

シール材試験

シール性能・密封性・耐久性等をテストするための試験。荷重(押付け力,締付け力)による漏れの有無,温度による漏れ量,流体圧力による破損(割れ,硬化等),油性状による粘着,移着,油量・流量による摺動温度,相手材(材質,粗さ等)によるポンピング量,速度(往復,回転)による摩擦力,ストローク(往復)による摩耗量,軸偏心(静動,動的)による表面粗さ,外乱(振動,ダスト等)を試験する。

試験方法

ガスケットやオイルシール,メカニカルシール等それぞれの試験方法が存在する。シール要素への要求性能は流体封しであるので,静止用,運動用,いずれの試験も供試シール間へ流体を送り込むという基本構成を取る。いずれのシールも試験結果を基に,最適な材料および形状設計が行われる。

エンジン試験

エンジン試験は,(1)動弁系 (2)ピストン系 (3)クランク系 の主なエンジンの摺動部品群の各々の部品特性に対応した摩擦磨耗評価を行う。

動弁系摩耗エンジン試験(JASO M 328-1995)

自動車用ガソリン機関潤滑油の動弁系の耐摩耗性能について,ロッカーアームパッド面のスカッフィング及びカムノーズ摩耗量によって評価する試験。

清浄性エンジン試験(JASO M 336-1998)

自動車用ディーゼル機関潤滑油の高温,高負荷における清浄性について,ピストンヘッドや吸排気弁等の燃焼堆積物,ロッカカバーやオイルパン等のスラッジなどによって評価する試験。

動弁摩耗エンジン試験(JASO M 354-1999)

自動車用ディーゼル機関潤滑油のすべりタイプ動弁系の耐摩耗性能について,試験後のカム径の減少量によって評価する試験。

(2サイクルガソリンエンジン)潤滑性,清浄性試験装置(JASO M 340-92, JASO M 341-92等)

二輪自動車・はん用機・船外機などの2サイクルガソリン機関に用いられる潤滑油(2サイクル油)の潤滑性,清浄性を評価する試験などがある。

クラッチ・ブレーキ試験

クラッチ・ブレーキ試験は,クラッチやブレーキの摩擦力や温度等を計測し,クラッチおよびブレーキの性能を試験する。

慣性起動(クラッチ試験)

静止状態にある慣性体にあらかじめ所定の回転速度で回転している駆動側をクラッチにより係合し,慣性体が回転始動して所定の連結状態に至る過程における実係合時間,摩擦力および温度等を計測する方法。

制動法(クラッチ試験)

所定の回転速度まで駆動されて原動機から分離された慣性体をクラッチにより固定した摺動面に押し付け,慣性体が制動停止するまでの過程における時間,摩擦力および温度等を計測する方法。

スリップ法(クラッチ試験)

一方を固定し,他方を一定の回転速度で回転させて両要素を押し付けて強制的にスリップさせて,回転速度の時間変化,摩擦力及び温度等を計測する方法。

油圧機器試験

自動車のプロペラシャフト・アクスルシャフト・アクスルハウジング・クランクシャフト・ボールジョイント・カップリング等の回転部品及び機器部材の疲労試験を行うための試験。

 

〈参考文献〉
潤滑経済 2008年4月号 特集「トライボロジー試験の概要と性能評価」
トライボロジーハンドブック(2001 養賢堂)
「摩擦・摩耗試験機とその活用」(2007 養賢堂)


○アントンパール・ジャパン
材料の機械的特性を測る試験機の開発・製造・販売

http://www.csm-instruments.com/ja


○パーカー熱処理工業
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http://www.pnk.co.jp/


○新東科学
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http://www.heidon.co.jp/


○トリニティーラボ
素肌から路面までのトライボロジー(摩擦摩耗)評価に取組んで30年

http://www.trinity-lab.com/


○神鋼造機
各種摩擦摩耗試験機の製造販売

http://www.shinko-zoki.co.jp/


○三洋貿易
摩擦・摩耗試験機,歯車試験機,絶縁破壊電圧試験器

http://www.sanyo-si.com/


○ブルカー・エイエックスエス
摩擦摩耗試験機,高性能ナノインデンテーションシステムなど

http://www.bruker.co.jp/axs/nano


○島貿易
トライボロジー試験機の販売

http://www.shima-tra.co.jp/


○協和界面科学
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http://www.face-kyowa.co.jp


○樋口商会
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○アドバンス理工
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http://www.tribo.co.jp/

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