当社のメインブロワーの減速機は稼働以来順調に運転されてきたのですが,定期点検を兼ねた総合分解整備をしました。以前から懸案になっていた箇所を改造し,ベアリングも取り替えました。すべて新しくなったと期待していたのですが,運転再開後,主軸のベアリングが2度続けて焼損してしまいました。ベアリング部の構造は図1に示す通りです。原因と対策を教えて下さい。
解説します。
いくつかの原因が予想されます。原点に戻って,冷静に一つ一つチェックしてください。
1.A,B両サイドの芯がくるっていないか,据付状態を調べる。
ベアリングはめ込み部は少し摩耗していた可能性があります。連続使用中は摩耗していても相対的にバランスが取れていれば,問題は発生しなかったかもしれません。芯を調べるとき受圧側を商にしてください。
2.図1の左側,A固定側はカラーとエンドカバーで,ベアリングはしっかり固定されております。これは正しい方法です。
一方,右側のB移動側を見るとエンドカバーのはめ込みC部が長く,すきまSが小さいような気がします。分解点検の際にこの部分が改造されたのではないでしょうか。ローラー軸受をセットするとき,片側は軸方向を固定するが反対側は隙間を取り熱膨張などによる軸方向移動を吸収するようにするものです。一般には駆動側が固定されるものです。
この考え方で見るとベアリングの軸受すきまも温度上昇の原因になります。一般的にベアリングのはめ合いは,取付け時に外輪、内輪とも若干の絞め代をもち,かつ,ベアリングに隙間が残るように組み立てます。はめ合い時に,あまり大きな絞め代を与えるとベアリングにすきまがなくなり,回転と同時に摩擦のために温度が上昇して焼き付くことがあります。すきまの種類にはC1,C2,C3,C4,C5などがあります。よく調べて正規のはめ合いを使用して下さい。
3.潤滑剤系統を調べる。
(1)どこか改造したとするとそこを良く調べる。
(2)周囲環境とベアリングの温度上昇を考慮して,潤滑剤を再検討する。
(3)グリースの詰めすぎも温度上昇の原因になります。腹八分の原理を守って下さい。
コンディションモニタリングBOX
メーカー別製品一覧
コンディションモニタリング機器の紹介
解説 コンディションモニタリング
- 設備診断技術の動向と今後の展望
大阪市立大学 大学院 川合 忠雄 - ガスタービンにおける設備診断の現状と課題
IHI 小林 英夫 - 原子力発電プラントにおける設備診断の現状と課題
東芝 渡部 幸夫 - 鉄鋼プラントにおける設備診断の現状と課題
新日本製鐵 村山 恒実 - 化学プラントにおける回転機設備診断機器の有効な活用法
三井化学 三笘 哲郎 - 化学プラントにおける設備診断の現状と課題
昭和エンジニアリング 里永 憲昭,梶原 生一,山路 信之,三重大学 陳山 鵬 - 地震時のエレベーター自動診断・自動復旧システムの開発
三菱電機ビルテクノサービス 西山 秀樹 - 設備診断技術を設備管理にどう活かすか
新日本製鐵 藤井 彰 - 振動診断のメカニズムと特徴,今後の展望
三重大学 大学院 陳山 鵬 - AE診断法とその特徴,今後の展望
THK 吉岡 武雄 - 超音波診断のメカニズムと特徴,今後の展望
高知工科大学 竹内 彰敏 - 音響診断のメカニズムと特徴,今後の展望
広島大学 大学院 中川 紀壽 - 潤滑油測定のメカニズムと特徴,今後の展望
福井大学 大学院 岩井 善郎