目で見ることは出来るが, 簡単には手の届かないボルトにゆるみが発生して,点検に困っています。良い方法はありませんか。
解説します。
最も簡単な方法は合いマークをつけておき,その「ずれ」具合をチェックすることです。
その他,据付時の周囲の振動を調べておき,その後の変化を知って,ボルトの緩みを想定し,停止時を利用して詳しく調査する方法もあります。簡単な改善でしたら割ピンタイプの回り止めをつけて,それが切れるのを発見する方法があります。
ついでにボルト・ナットについて注意事項を付け加えておきます。
(1)締めすぎないこと。締めすぎた場合は少しの外力で折損する。ボルトが伸びて,がたつきの原因となる。ボルトの締め付け力は降伏点荷重×(0.6~0.7)が適当
(2)原則として1度締め付けたボルトは再使用しない。ほとんどの場合締めすぎによりボルトが伸びている。
(3)ボルトは下から穴に差し込み上でナットを締める。上から入れるとナットが緩んでも,落下してもすぐに発見することが出来ない。締め付けはボルトを固定して上部でナットを締めるのが基本である。
図1 正しいボルトの締め方(下から取り付ける) |
(4)形鋼などボルトあるいはナットの取り付け座がボルト芯に対して直角でないときは平ワッシャ使わずにそのテーパーに合ったワッシャを使う。
(5)ボルト・ナットの組み合わせは正しく使用する。強度の異なるものを組み合わせると緩みやすくなる。ボルトナットの組み合わせ基準を表1に示す。
ここで,ナット強度区分5の場合,保証荷重応力が50kgf/mm2であることを示す。
ボルト強度区分4・6の場合,4は引張り強さの最小値が40kgf/mm2であることを示す。6は降伏点または耐力の最小値が引張り強さの最小の60%であることをあらわす。
表1 ボルト・ナットの強度による組み合わせ
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(6)ボルト・ナットの緩みの一般的な点検方法はテストハンマーの柄の端をもってボルトまたはナットを横からたたいてみることです。「カンカン」と澄んだ音がして手に振動が伝わってきたら良くしまっていることです。
コンディションモニタリングBOX
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コンディションモニタリング機器の紹介
解説 コンディションモニタリング
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