潤滑油そこが知りたいQ&A

油圧装置の油漏れトラブル | ジュンツウネット21

我々の工場では油圧装置が多く使われております。それぞれすこしづつ作動油が漏れて,周囲が乾くときがありません。上司からは汚いからどうにかしろといわれますが,それぞれでは漏れ量が少ないので,漏れ箇所も発見できず対策の立てようがありません。どうしたらよいのでしょうか。

解説します。

まず,油圧装置では,汚れを含めて作動油の質の管理が大切だといわれておりますが,油漏れも大きな問題です。

外部に作動油が漏れることは異常現象です。これは経済的損失や機器周辺の汚ればかりでなく,油漏れの原因となる不具合が油圧装置のどこかにあるということです。

油は漏れないのが原則です。油漏れは異常の警告だと思ってください。作動油の漏れはいろいろな原因で発生します。

徹底的に点検して不具合を早く取り除き大きな事故を未然に防いでください。表1に作動油の漏れ発生要因と対策を示します。

なお,配管継手などからのにじみもやがては大きな漏れとなります。にじみのうちに発見して,対策を打つことをお勧めします。このにじみ発見,それに対する対策こそが真のメンテナンスです。

表1 作動油の漏れ要因とその対策
要因
対策
配管溶接部破損 (1)配管施工時の対策
 1.配管同士の突合せ溶接はできるだけ避ける
 2.溶接に当たっては,溶接部の平行度や直角度を正確に出し,無理な溶接はしない
 3.配管の振動止めには,アルミニューム製や樹脂製のパイプクランプを使用して,完全に固定する
ホース破損・継手ゆるみ (1)振動源となるサージ圧の発生を防止する
 1.他の設備などとの接触を避ける。やむをえないときはガードをつける
 2.メーカー指導による正しい取付(無理な曲がり防止など)を実施する
 3.取付時,作動時のねじれに注意する
(2)継手
 1.ユニオン継手は極力避ける。食い込み継手は細いもの(3/8B以下)に限定する。その他はフランジ継手とする
 2.締め付けに細心の注意を払う
 3.振動源となるサージ圧の発生を防止する
 4.ホース本体と継手金具の取付部を確実にする(メーカーの指示に従う)
フランジ・機器の取り付け不良 (1)取付ボルトの緩み
 1.取付面間の平行度,芯だしを正確に行う
 2.トルクレンチなどを使って,適正トルクで均一に締める
 3.振動をなくす
(2)シ-ル不良
 1.シール材質は作動油に合わせる
 2.Oリング溝加工に注意する
 3.Oリングは正しい硬度で使用する
 4.Oリングの取り付け時の噛み込みに注意する
グランドシール不良 (1)ダストシールの管理を徹底する
(2)シール材質は作動油の性質に合わせる
(3)摩耗対策
 1.シールには寿命があるので適当な周期で交換する
 2.作動油の汚染に注意する
 3.シールとの摺動面の仕上げを適切に行う
(4)破損対策
 1.サージ圧の発生を防止する
 2.取り付け方には十分注意する

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最終更新日:2022年11月29日