オイルシールを取り替えました。しかし,300時間もしないうちにまた洩れてしまいました。新品のときとまったく違うようです。どうしたら良いですか。
解説します。
オイルシールの損傷にはいろいろな原因があります。これは損傷までの時間によってある程度原因が想定されます。
いくつかの事例を挙げておきます。
(1)1000時間以上の運転に耐えた場合は問題ありません。
(2)400時間~600時間運転後に油漏れの場合は使用条件に対して,ゴム材質が耐えられなくなったことが予想されます。シールリップの硬化,微細なクラックの発生または極端な膨張を起こします。
(3)100時間以内に油漏れを発生してしまう場合はオイルシールの形状・材質不適,軸仕上げの不良などです。
(4)組み込み後,数分,数時間で油漏れ発生の場合はオイルシールと軸シールに大きな欠陥があるか,取付不良です。今回のケースは300時間ということですが,自分たちで取り替えたということが気になりますので,取付方法をチェックしてください。
参考に一般的なオイルシールの取り付け方法について説明しておきます。
(1)シールの寸法,シール部に異常がないか,変形,スナップリングの発生,脱落の有無を確認する。
(2)シールの向きを図面を見てよく確認する。
(3)シールを取り付け前に使用する潤滑剤に浸し,予備潤滑を行う。
(4)圧入治具を使用して,シールの金具部に力が均等にかかるようにする。シールを直接ハンマーで叩かないように,図1に示すような当て板を使用する。
(5)軸とシールをなじませるため,軸をゆっくりと回転させ,確認する。
(6)組み込み後洗浄は行わない。
さらに付近を塗装するときはシールおよびシールの接触する軸の部分はカバーして,保護する。
図1
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コンディションモニタリングBOX
メーカー別製品一覧
コンディションモニタリング機器の紹介
解説 コンディションモニタリング
- 設備診断技術の動向と今後の展望
大阪市立大学 大学院 川合 忠雄 - ガスタービンにおける設備診断の現状と課題
IHI 小林 英夫 - 原子力発電プラントにおける設備診断の現状と課題
東芝 渡部 幸夫 - 鉄鋼プラントにおける設備診断の現状と課題
新日本製鐵 村山 恒実 - 化学プラントにおける回転機設備診断機器の有効な活用法
三井化学 三笘 哲郎 - 化学プラントにおける設備診断の現状と課題
昭和エンジニアリング 里永 憲昭,梶原 生一,山路 信之,三重大学 陳山 鵬 - 地震時のエレベーター自動診断・自動復旧システムの開発
三菱電機ビルテクノサービス 西山 秀樹 - 設備診断技術を設備管理にどう活かすか
新日本製鐵 藤井 彰 - 振動診断のメカニズムと特徴,今後の展望
三重大学 大学院 陳山 鵬 - AE診断法とその特徴,今後の展望
THK 吉岡 武雄 - 超音波診断のメカニズムと特徴,今後の展望
高知工科大学 竹内 彰敏 - 音響診断のメカニズムと特徴,今後の展望
広島大学 大学院 中川 紀壽 - 潤滑油測定のメカニズムと特徴,今後の展望
福井大学 大学院 岩井 善郎