潤滑油そこが知りたいQ&A

オイルシールの損傷トラブル | ジュンツウネット21

オイルシールを取り替えました。しかし,300時間もしないうちにまた洩れてしまいました。新品のときとまったく違うようです。どうしたら良いですか。

解説します。

オイルシールの損傷にはいろいろな原因があります。これは損傷までの時間によってある程度原因が想定されます。

いくつかの事例を挙げておきます。

(1)1000時間以上の運転に耐えた場合は問題ありません。

(2)400時間~600時間運転後に油漏れの場合は使用条件に対して,ゴム材質が耐えられなくなったことが予想されます。シールリップの硬化,微細なクラックの発生または極端な膨張を起こします。

(3)100時間以内に油漏れを発生してしまう場合はオイルシールの形状・材質不適,軸仕上げの不良などです。

(4)組み込み後,数分,数時間で油漏れ発生の場合はオイルシールと軸シールに大きな欠陥があるか,取付不良です。今回のケースは300時間ということですが,自分たちで取り替えたということが気になりますので,取付方法をチェックしてください。

参考に一般的なオイルシールの取り付け方法について説明しておきます。

(1)シールの寸法,シール部に異常がないか,変形,スナップリングの発生,脱落の有無を確認する。

(2)シールの向きを図面を見てよく確認する。

(3)シールを取り付け前に使用する潤滑剤に浸し,予備潤滑を行う。

(4)圧入治具を使用して,シールの金具部に力が均等にかかるようにする。シールを直接ハンマーで叩かないように,図1に示すような当て板を使用する。

(5)軸とシールをなじませるため,軸をゆっくりと回転させ,確認する。

(6)組み込み後洗浄は行わない。

さらに付近を塗装するときはシールおよびシールの接触する軸の部分はカバーして,保護する。

オイルシールの組込め
1)ハンマーでたたいて組込む 2)プレス等で押込む
図1

アーステック



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最終更新日:2022年11月28日