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減速機の芯だし不良 | ジュンツウネット21

たくさんの減速機を使用しておりますが,トラブルが頻繁に起きます。シールからの油漏れ,歯面の摩耗,肌荒れなど軽度ですが,心配です。根本的な間違いがあるような気がします。据え付け時の芯だしが問題だとも言われますが,ギヤーカップリングなどフレックス型の継手を使っているので大丈夫だと思っております。

解説します。

減速機の芯だし不良について

いろいろのことが考えられますが,歯車現場でトラブル調査のとき発見される最も多い不都合の一つが軸継手の芯だし不良です。

そこで,芯だし精度についてもう一度考えてください。

大きな間違いのひとつがフレキシブル型といわれるカップリングの据付精度に関する誤解です。カタログには「この範囲ならば使用することができます」といって,許容角度などが示されておりますが,これはあくまでもとりあえず使えるということで,長期間の使用に耐えるという意味ではありません。一般的にはリジットのカップリングと同様に据え付けるのが正しい方法です。芯だしが悪ければ,カップリングの寿命が低下し,回転中の挙動が,駆動側・被駆動側の運転挙動および構成部材に影響して,思わぬ故障を招くことになります。ここでよく使用されるカップリングの種類とその芯だし精度を表1に示しておきます。

表1 カップリングの芯だし精度
カップリングの種類
軸径(mm)
回転数(rpm)
偏芯(mm)
偏角(mm)
フランジカップリング
250以下
300~3000
0~0.03
0~0.02
ラブフレックスカップリング
80以下
500~3000
0~0.05
0~0.02
80~250
250~10000
0.05~0.07
0.05~0.10
ギヤカップリング
100以下
500~3000
0~0.03
0~0.03
100~250
300~2000
0.03~0.05
0.03~0.05
チェーンカップリング
100以下
750~3000
0~0.03
0~0.02
100~250
75~100
0.03~0.10
0.05~0.10

その他軸受すきまの小さいものは,ほとんど影響は受けないので考慮を必要としませんが,歯車の回転運動で反力を生じて,軸受隙間の量だけ軸心が異動する減少が起きます。したがって,高速回転の場合,軸受すきまの設定を大きくする場合がありますので,これを配慮した芯だしとする必要があります。

ブルカージャパン ナノ表面計測事業部

アーステック



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最終更新日:2022年11月28日