当工場では点検員を小グループに分けて設備を分担し,責任をとる体制にしてから,問題点が明瞭になり,つぎつぎに対策をとり,設備故障が激減しました。しかし,設備が安定したにもかかわらず,一定周期で同じ点検員が同じ設備を点検しているとだんだんマンネリ化し,作業員は職場に情熱を感じなくなってきました。さらに,悪いことには重大事故が発生し,原因調査の段階で,ソフトの面では点検のおざなり,基準を守っていない(覚えてしまったということで基準書が紛失)ことが分かりました。常に新たな気持ちで,大切ではあるが単調な点検という仕事を続ける方法はありませんか?
解説します。
点検員のマンネリ化防止策について
点検員に設備を分担させ,それぞれについて責任制をとることは,非常に良いことです。全体で責任を取るというやり方は,結局誰もはっきりとした責任はとらないことになります。
責任をとるということで点検員が,ハッスルして設備が安定してくると,点検してもほとんど異常はなく,同じ点検方法ではマンネリ化するのも当然なことです。
そこで,まず,担当設備を安定させたことに対して表彰する。この段階で卒業したと考えさせ,次の段階に進ませる。これには各社の事情があると思いますが,次のような方法を提案します。
(1)担当設備に関して,点検員は自らの点検業務を標準化する。すなわち,点検基準,点検管理表,取替工事管理表,技術標準,予備品管理表,機械履歴簿などを完備する。この歯止めが終わったら,新しい点検員を養成し交代する。本人は他の設備へ移る。この場合なるべく不安定な,問題の多い設備がよい。
(2)担当設備に関し,安定した状態を踏まえて,点検員自ら,各種基準を見直し,業務周期の延長を図り,業務量を削減する。この段階で,点検員の担当設備範囲を拡大する。
(3)点検員は自らの設備に関し,合理的な点検方法の開発など,業務の改善に取り組む。
- 日常点検はオペレーターに任せる。この場合設備メンテナンス責任は点検員にあるので,オペレーターが正しく点検し,設備の異常報告などが正しく,速やかに行われるように,適切な仕組みを作り上げることが大切である。
- 精密重点点検制度を採用し,重大事故が発生しないよう未然防止を図る。
- 設備診断技術など点検に関する新しい技術を取り入れる。
(4)点検員は,改良保全にウエイトを置く。設備の寿命延長,取替工事の簡素化などを目的として,改善活動を強力に進める。
コンディションモニタリングBOX
メーカー別製品一覧
コンディションモニタリング機器の紹介
解説 コンディションモニタリング
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東芝 渡部 幸夫 - 鉄鋼プラントにおける設備診断の現状と課題
新日本製鐵 村山 恒実 - 化学プラントにおける回転機設備診断機器の有効な活用法
三井化学 三笘 哲郎 - 化学プラントにおける設備診断の現状と課題
昭和エンジニアリング 里永 憲昭,梶原 生一,山路 信之,三重大学 陳山 鵬 - 地震時のエレベーター自動診断・自動復旧システムの開発
三菱電機ビルテクノサービス 西山 秀樹 - 設備診断技術を設備管理にどう活かすか
新日本製鐵 藤井 彰 - 振動診断のメカニズムと特徴,今後の展望
三重大学 大学院 陳山 鵬 - AE診断法とその特徴,今後の展望
THK 吉岡 武雄 - 超音波診断のメカニズムと特徴,今後の展望
高知工科大学 竹内 彰敏 - 音響診断のメカニズムと特徴,今後の展望
広島大学 大学院 中川 紀壽 - 潤滑油測定のメカニズムと特徴,今後の展望
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