当工場では,景気の回復で,昨年末より徐々に増産しております。したがって,ラインスピードが上がり,それにつれて搬送ローラーのベアリングの温度が上昇してきました。搬送される製品も温度が高いので周囲も高温です。グリースがシール漏れするようになりました。いまのうちに対策を講じないと大変なことになると思います。潤滑剤で解決できるのか,構造的に改善しなくてはならないのか教えてください。
解説します。
搬送ローラーのベアリングシール油漏れトラブルについて
どのようなベアリング構造なのか,どのようなグリース供給設備になっているのか,不明ですので,一般的なことを述べます。参考にしてください。
まず,原点に返って潤滑剤について,グリース給脂が良いのか,冷却効果が期待できる潤滑油循環システムが良いのか,あるいはオイルミスト給油がよいのか再検討してください。
ここではグリース給脂のケースで説明します。
グリースは常識的には120℃ぐらいが使用限度です。しかし,メーカーによっては耐熱グリースを製造しておりますので,専門メーカーに条件を示して相談してください。
次に給脂方法ですが,手差し給脂の場合は耐熱グリースをそのまま給脂してください。さらにベアリング周囲を冷却するか,防熱処置を計画してください。ベアリングの温度が低ければそれだけグリースの潤滑効果が期待できます。
集中給脂を採用している場合はグリースを選択するとき,圧送性が問題になりますので注意してください。さらに,配管を冷却して,グリースが途中で軟化したり,硬化したりするのを防止してください。
共通の問題として,ベアリング自体を冷却することは,大変効果のあることです。さらに,軸受のシールについては,高速化し,温度上昇があることを踏まえて,改善してください。
コンディションモニタリングBOX
メーカー別製品一覧
コンディションモニタリング機器の紹介
解説 コンディションモニタリング
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昭和エンジニアリング 里永 憲昭,梶原 生一,山路 信之,三重大学 陳山 鵬 - 地震時のエレベーター自動診断・自動復旧システムの開発
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