我が工場は,自社でメンテナンスを実施しております。しかし,いろいろと問題があります。そのひとつに予備品の持ち方があります。ボルト・ナットなど小さいものは共通予備品倉庫に保管し,誰でも使えるようにしております。しかし,それぞれの設備特有なものは,設備のそばに,仮置きしておりますが,いざという時どこにあるのか,探すのに時間がかかり,停止時間を延長してしまうことがあります。
また,部品単体で持っているので,現地で解体し,部品のみ取り替えて再び組み立てることになり,作業環境が悪いことと,傍で,オペレーターや管理者が見ているので,落ち着いて作業ができません。
事前に,ある程度組み立てておいて,現地作業を少なくする方法があると聞いておりますが,費用の関係で,言い出せません。組み立て予備品を持っているメリットを教えてください。
解説します。
予備品の持ち方について
いろいろの考え方があり,組み立てといってもどこまで持っているかについても議論があります。
図1にシリンダーについて組み立て品の持ち方の順序を示します。
図1 シリンダーの予備品の持ち方 |
組み立て部品で持つことは,費用がかかります。これが難点です。しかし,次のような利点があります。
(1)落ち着いた環境で予備品組み立て作業ができる
(2)一般に部品単体で損傷することは少なく,関連箇所が損傷しているものです。落ち着いて作業するとそれらを完全に修復することができる
(3)耐圧テストなどが事前にできて,取り付け後直ちに稼働できる
(4)現地作業が短く,ライン停止を少なくできる
(5)メンテナンス作業者の仕事を分散できて,効率が良くなる(一般に設備停止の修理時間に仕事が集中し,設備稼働中は仕事が少なくなるものです)
主なものを上げましたが,この項目でメリットを計算してください。
不況の場合,生産量が少ないので,少しぐらい止めてもかまわないから,予備品に金をかける必要はないという人がいますが,生産ラインは生産するためにあるもので,稼働する限りは,最大能力で稼働率100%を目標に稼働させるものです。設備には労務費,エネルギーコスト,減価償却費,その他の固定費がかかっております。
これは突発停止など設備停止中,あるいはのろのろ運転中も同様です。もし,生産量が少なくて設備を100%稼働させなくて良い場合は,稼働するときは100%を目標にし,その他の時間は完全に停止してしまうようにしてください。
コンディションモニタリングBOX
メーカー別製品一覧
コンディションモニタリング機器の紹介
解説 コンディションモニタリング
- 設備診断技術の動向と今後の展望
大阪市立大学 大学院 川合 忠雄 - ガスタービンにおける設備診断の現状と課題
IHI 小林 英夫 - 原子力発電プラントにおける設備診断の現状と課題
東芝 渡部 幸夫 - 鉄鋼プラントにおける設備診断の現状と課題
新日本製鐵 村山 恒実 - 化学プラントにおける回転機設備診断機器の有効な活用法
三井化学 三笘 哲郎 - 化学プラントにおける設備診断の現状と課題
昭和エンジニアリング 里永 憲昭,梶原 生一,山路 信之,三重大学 陳山 鵬 - 地震時のエレベーター自動診断・自動復旧システムの開発
三菱電機ビルテクノサービス 西山 秀樹 - 設備診断技術を設備管理にどう活かすか
新日本製鐵 藤井 彰 - 振動診断のメカニズムと特徴,今後の展望
三重大学 大学院 陳山 鵬 - AE診断法とその特徴,今後の展望
THK 吉岡 武雄 - 超音波診断のメカニズムと特徴,今後の展望
高知工科大学 竹内 彰敏 - 音響診断のメカニズムと特徴,今後の展望
広島大学 大学院 中川 紀壽 - 潤滑油測定のメカニズムと特徴,今後の展望
福井大学 大学院 岩井 善郎