当工場の主要設備にユニバーサルカップリングが多く使用されております。建設当初は快適に稼動しておりましたが,最近,振れが発生しております。考えられる原因を教えてください。
解説します。
ユニバーサルカップリングのトラブルについて
ユニバーサルジョイントは,ヨークを持った継手本体と,クロス(十字型金具)とからなり,この間にニードルベアリングを挿入し,グリースやオイルなどの潤滑剤を介して,転がり摩擦をしながら回転力を伝達するものです。
伝達効率が高く取れるので,高速,高荷重の駆動スピンドルに採用され,伝達動力を下げることができます。
図1 ユニバーサルカップリングの使用例1 |
図2 ユニバーサルカップリングの使用例2 |
一般にユニバーサルカップリングは一対で使用されますが使用例1(図1),使用例2(図2)のように取り付けられた場合,2個のジョイント部は次の3条件を満たす必要があります。
(1) 作動角αが同一である
(2) 中間軸に取り付けられたヨークが同一位相である
(3) 駆動軸,中間軸,従動軸の中心が同一平面内である
これらの3条件をひとつでも満たさないと,従動軸は駆動軸と同一の回転をすることができず,ねじり振動を起こし,スピンドルの破損につながることになります。
ユニバーサルカップリングのトラブル例とその対策を表1に示します。
表1 ユニバーサルカップリングのトラブル例と対策
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このユニバーサルカップリングは,適切なメンテナンスとそのメンテナンスから得られた情報を基にしたメーカー側の改造により,大きく進歩し,高トルク,高回転のところに多く取り入れられるようになってきております。
その利点は
(1)ころがり摩擦のため伝達効率がよく,電力消費量が削減できる
(2)オイルシールを完全に装着でき,飛散グリースも少なく,周囲の汚れを少なくすると同時に,給脂量を削減できる
(3)振動・騒音が少ない
などあげられます。
いずれにしてもこのタイプのカップリングは色々改造されて優れたものになっております。一度原点に戻って一つ一つ現状を調査して,すべての不具合を調整してください。一般にトラブルはいくつかの不具合の総合作用によって発生します。
コンディションモニタリングBOX
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