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ユニバーサルカップリングのトラブル | ジュンツウネット21

当工場の主要設備にユニバーサルカップリングが多く使用されております。建設当初は快適に稼動しておりましたが,最近,振れが発生しております。考えられる原因を教えてください。

解説します。

ユニバーサルカップリングのトラブルについて

ユニバーサルジョイントは,ヨークを持った継手本体と,クロス(十字型金具)とからなり,この間にニードルベアリングを挿入し,グリースやオイルなどの潤滑剤を介して,転がり摩擦をしながら回転力を伝達するものです。

伝達効率が高く取れるので,高速,高荷重の駆動スピンドルに採用され,伝達動力を下げることができます。

ユニバーサルカップリングの使用例1
図1 ユニバーサルカップリングの使用例1
ユニバーサルカップリングの使用例2
図2 ユニバーサルカップリングの使用例2

 一般にユニバーサルカップリングは一対で使用されますが使用例1(図1),使用例2(図2)のように取り付けられた場合,2個のジョイント部は次の3条件を満たす必要があります。

(1) 作動角αが同一である
(2) 中間軸に取り付けられたヨークが同一位相である
(3) 駆動軸,中間軸,従動軸の中心が同一平面内である

これらの3条件をひとつでも満たさないと,従動軸は駆動軸と同一の回転をすることができず,ねじり振動を起こし,スピンドルの破損につながることになります。

ユニバーサルカップリングのトラブル例とその対策を表1に示します。

表1 ユニバーサルカップリングのトラブル例と対策
状況
原因
対策
スピンドルの振れ (1)取付不良 取付時の3条件を満たす
(2)バランス不良 バランスおもりの落下(購入時はおもりは必ずついているもの,ないときはバランス不良)
(3)スプライン部の摩耗 ブッシュ等の摩耗部品を取替える
(4)フィッティングヨークの摩耗(特に小判穴) 耐摩耗性材質への変更,表面硬化処理の施工,ライナー式に改造
クロス軸部の損傷 (1)面圧強度不足 ころ径を大きくする
軸部材質および表面硬化処理の改良
(2)ベアリングケースの割損 ボルトの緩み防止
ケースの強度アップ
クロス軸部などの異常摩耗 (1)潤滑剤不足 定期補給の実施
潤滑剤圧送性の改良
(2)潤滑剤漏れ,流失 オイルシール強化,遠心力で飛散しない構造
グリースなどの性質変更(粘度,ちょう度)

このユニバーサルカップリングは,適切なメンテナンスとそのメンテナンスから得られた情報を基にしたメーカー側の改造により,大きく進歩し,高トルク,高回転のところに多く取り入れられるようになってきております。

 その利点は

(1)ころがり摩擦のため伝達効率がよく,電力消費量が削減できる
(2)オイルシールを完全に装着でき,飛散グリースも少なく,周囲の汚れを少なくすると同時に,給脂量を削減できる
(3)振動・騒音が少ない

などあげられます。

いずれにしてもこのタイプのカップリングは色々改造されて優れたものになっております。一度原点に戻って一つ一つ現状を調査して,すべての不具合を調整してください。一般にトラブルはいくつかの不具合の総合作用によって発生します。

アーステック



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最終更新日:2022年11月28日