当工場のメインブロワーの駆動のVベルトが時々スリップします。8本で駆動しているのですが最近ベルトの摩耗と判断して3本取り替えました。しかし,1ヵ月後にまたスリップが出始めました。想定される原因を教えて下さい。
解説します。
いくつかの原因が考えられます。
(1)Vベルトは,Vプーリーの溝に食込む「クサビ作用」によって駆動力を伝達しているのでVベルトが底あたりしているとこのクサビ作用の効果がなくなり,スリップすることがあります。この状態でベルトの張りをきつくしてもスリップを防止することは出来ません。底あたりの原因は図1に示すように(1)正常に対して,(2)溝底部に異物が混入している,(3)プーリーが摩耗している,(4)ベルトが摩耗しているかのいずれかです。
図1 VベルトとVプーリー溝との関係 |
(2)次にVベルト8本中2本を取り替えた時は,変えてないベルトとの長さが微妙に違うのでそのまま張りを調整してもVベルトとVプーリーに不均一な力がかかり,ばらばらに摩耗したり,スリップしたり,発熱したりで,再度トラブルを発生することになります。必ず全部一緒に取り替えてください。取り替えるときは軸間距離を狭めて,取替え後に改めて張りを調節してください。
(3)ベルトの張り具合の目安は
a.軸受が熱い時はベルトの張り過ぎ,
b.Vプーリーが熱い時はベルトの張りが弱く,スリップしていることなどです。
(4)Vベルトが立て振れを起こしていることがありますが,この立て振れはVベルトとVプーリー溝の摩耗およびVプーリーの芯狂いなどが原因で,張り具合が緩んでいる時に顕著に発生します。そして大きな事故に発展することがありますので,直ちに適正な張力とVプーリーの芯出しを実施して下さい。
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