潤滑油そこが知りたいQ&A

点検基準の作り方 | ジュンツウネット21

長い年月,現場作業員の経験と勘で設備点検を実施してきたが,明文化された点検基準などありません。次の世代のことを考えると心配です。点検基準はどのようにして作ったら良いのですか。

解説します。

今実施している作業員に書いてもらうのが1番良いのですが,ほとんどの場合,その作業員は文章など書くのは苦手なはずです。そこで次の方法で進めて下さい。

(1)点検基準のホームを決める。 事例を表1に示す。

表1 点検基準の事例
No
機械名称
No
点検箇所
点検の急所
周期
備考
1
潤滑油タンク
1
タンク本体 漏れ,汚れ,腐食
1日
 
2
温度計 40~50℃
1日
 
3
油面計 油糧,フロート
1日
 
4
バルブ,配管  漏れ,保温材の外れ
1日
 
2
潤滑油プレッシャータンク
1
液面計 漏れ,液面(規定内)
1日
 
2
圧力計 漏れ,圧力(規定内)
1日
 
3
安全弁 作動圧力,元バルブ
1年
 
4
タンク本体 内部汚れ,腐食,点検口パッキン
1年
 
3
サイドトリマー
1
移動装置 (1)中間カップリング締め付けボルト緩み,穴だれ
1ヵ月
 
(2)ベアリング押さえ用エンドプレート取り付けボルト緩み
1ヵ月
 
(3)スプロケット摩耗
1ヵ月
 
(4)ローラーチェーン摩耗
1ヵ月
 

(2)減速機,モーター,ポンプ,送風機など一般的な設備についてはメーカーの共通設備点検要領があるのでこれを利用して教科書とする。しかし,現地に組み入れると生産環境によって,特有な変化を示すことがあるので,今,作業員が実施している知恵を取り入れてその工場専用の点検基準を作り上げる。

(3)点検設備単位を決める。今,作業員がどのような範囲で区切って点検しているか,作業員について回って確認する。

(4)作業員と一緒に点検して歩く。やっていることを記録する。点検している時その作業員がその場その場で何を考えているかを聞き出す。例えば「この減速機は以前,潤滑油が底から抜けて油切れを起こしたことがある」,「この油圧シリンダーは動きが激しいのでクレビスにクラックが入ったことがある」など,長年の付き合いから知り尽くしたそれぞれの機械の弱点,クセを聞き出す。これらを備考に書き入れる。

(5)点検周期を作業員の意見を聞きながら決める。この場合,心配が先に立って短い周期となるのが一般的である。これは計画しながら修正してゆけばよい。

(6)オーバーホールを実施する時は図面を用意する。さらに機械履歴簿があるものについてはこれを参考にする。

(7)不完全であっても早く作り上げることである。使用するごとに不足部分を追加してゆく。

(8)点検基準に従って,日常の点検カレンダーをつくる。

(9)点検員が交代する時は今までの経験を追加し,正式に訂正し申し送る。

(10)大切なことは全員が基準を守り,基準を中心に意見交換をすることである。

アーステック



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最終更新日:2024年12月20日