天井クレーン定期点検中に走行車輪のギヤーの歯が図1のように欠けているのを発見しました。ギヤーの予備がありません。良い応急処置方法を教えてください。
図1 クレーン走行歯車の歯の欠損 |
解説します。
最近実施した応急処置の事例をお知らせします。参考にしてください。
チェーンブロックでクレーン本体を吊り上げ,車輪を浮かせて,現地で分解し,溶融溶射法で応急処置を実施しました。応急処置に必要な機材はガス溶接用酸素,アセチレン,自溶合金溶射トーチおよび粉末,その他関連諸工具です。
処置手順は図2に示すとおりです。取り外した車輪の歯の破断面にサンダーをかけて,錆,不純物および疲労した金属の組織を取り除き,破断面を55℃,薄茶色になるまで予熱する。そして自溶合金の粉末を溶射しながらフュージングする。
必要な量だけに肉盛したら,エアグラインダーやヤスリで歯を仕上げる。この時は歯形ゲージや相手歯車との噛み合わせを見ながら仕上げると良い。
各部の角出しは,小型トーチを使ったほうが早い場合があります。
これはほんの一例です。このほかにボルトを埋め込んでその周りを肉盛するなどいろいろな方法があります。詳しくは日本プラントメンテナンス協会発行の「表面改質・再生技術」など専門書を参考にしてください。
図2 歯車の歯欠け応急処置の手順 |
コンディションモニタリングBOX
メーカー別製品一覧
解説 コンディションモニタリング
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東芝 渡部 幸夫 - 鉄鋼プラントにおける設備診断の現状と課題
新日本製鐵 村山 恒実 - 化学プラントにおける回転機設備診断機器の有効な活用法
三井化学 三笘 哲郎 - 化学プラントにおける設備診断の現状と課題
昭和エンジニアリング 里永 憲昭,梶原 生一,山路 信之,三重大学 陳山 鵬 - 地震時のエレベーター自動診断・自動復旧システムの開発
三菱電機ビルテクノサービス 西山 秀樹 - 設備診断技術を設備管理にどう活かすか
新日本製鐵 藤井 彰 - 振動診断のメカニズムと特徴,今後の展望
三重大学 大学院 陳山 鵬 - AE診断法とその特徴,今後の展望
THK 吉岡 武雄 - 超音波診断のメカニズムと特徴,今後の展望
高知工科大学 竹内 彰敏 - 音響診断のメカニズムと特徴,今後の展望
広島大学 大学院 中川 紀壽 - 潤滑油測定のメカニズムと特徴,今後の展望
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