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渦巻きポンプ性能低下 | ジュンツウネット21

渦巻きポンプの揚水能力が落ちてきました。考えられる原因は何でしょうか。

解説します。

揚水量が落ちる原因にはキャビテーションの発生,ライナーリングの摩耗,グランド部の漏れ,ポンプ出側の不具合などが考えられます。

(1)キャビテーションの発生

ポンプの吸入側で起こる現象であり,液体の圧力低下によってその一部が蒸気となり,液体中に気泡を生じる現象です。

初期の段階では吐出量の現象という問題ですが,放置するとこの液体中の気泡がポンプの羽根車に到達して圧力が回復すると,その気泡が再び液体の戻り消失する。この時局部的衝撃が働くため,羽に虫食い状の破壊,いわゆるキャビテーションエロージョンが発生することになります。

 キャビテーション発生の原因としては

  1. サクション弁が十分開いていない
  2. サクション・ストレーナーのつまり
  3. サクション配管のつまり

などが考えられます。

この中でサクション・ストレーナーのつまりは気がつかないで大きなトラブルを発生することがあります。この働きはポンプやバルブを壊すような大きな異物を取り除くためのものですから,メッシュの大きいものにしてください。

(2)ライナーリングの摩耗

ライナーリングのすきまが過大になると,ポンプ効率の低下を招きます。

適正すきまの値を表1に示します。

表1 ライナーリングの適正すきま
リング直径 mm
適正すきま mm
50
0.15~0.25
100
0.20~0.30
200
0.40~0.50
300
0.50~0.70
500
0.60~0.80
700
0.80~1.00
1000

(3)グランド部からの漏れ

パッキン押さえボルトの緩み,パッキンの劣化,ポンプシャフト軸受け部の摩耗などが考えられます。

(4)ポンプ出側の不具合

出口弁が十分開いていない,配管抵抗の増大,配管の吐出し口が小さいなどが考えられます。

なお,出口弁を中途半端にしておくと弁座が摩耗して,完全に閉まらなくなる恐れがあります。

また,配管抵抗の増大には異物によるつまりのほかに,液体からの沈殿物,固形化物などで管の内径が狭くなっていることがあります。

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最終更新日:2022年12月1日