当社の工場はチェーン駆動を多用しております。したがってチェーンの事故が時々発生し設備全体の稼働率を下げております。特に多いのが軸受の破損です。原因と対策を教えて下さい。
解説します。
チェーン駆動軸受のトラブルは,過荷重によるオーバーロードの場合以外はチェーンのたるみ調整が悪いと思います。
チェーンの大きなたるみは軸受に大きな衝撃を与えます。図1における,チェーンのたるみ(a)は軸間距離の2%程度にします。また,1度切りつめをして次にまた緩んできた時はチェーンが伸びているので取り替えて下さい。
図1 チェーンのたるみ |
参考のためにローラーチェーンの摩耗,伸びと潤滑の関係について,一言触れておきます。
ローラーチェーンの摩耗,伸びは潤滑条件により大きく異なります。給油と無給油では伸びが数十倍も異なることがあります。適時少量の潤滑油を塗布するだけでも,効果があります。
ローラーチェーンの伸びは,ピンとブッシュ間に摩耗が生じることによって起こります。給油を図2に示す黒線の箇所に行うと,潤滑油が油膜となって金属接触を最小限にし,チェーン寿命を長くします。また,潤滑油は高速運転時に冷却や騒音を低減する効果があり,衝撃に対してはクッションの役目を果たします。
図2 給油箇所 |
ここでローラーチェーンの摩耗寿命とは,ピッチが長くなり,起動,停止時のショックが大きくなったり,スプロケットの歯先への乗り上げ,噛み合い不良などが発生したりすることで,一般的には図3に示す推奨許容伸びを使用限界と考えております。
なお,チェーン摩耗伸び率は次の式で求めます。
伸び%={(L2-L1)/L1}×100
ここで,L1はチェーン新品のときの寸法,L2は使用後伸びたときの寸法で,いずれも,あるピンリンクピッチ+ローラーリンクピッチ+次のピンリンクピッチの長さです。
図3 チェーンの許容伸び率 |
コンディションモニタリングBOX
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コンディションモニタリング機器の紹介
解説 コンディションモニタリング
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IHI 小林 英夫 - 原子力発電プラントにおける設備診断の現状と課題
東芝 渡部 幸夫 - 鉄鋼プラントにおける設備診断の現状と課題
新日本製鐵 村山 恒実 - 化学プラントにおける回転機設備診断機器の有効な活用法
三井化学 三笘 哲郎 - 化学プラントにおける設備診断の現状と課題
昭和エンジニアリング 里永 憲昭,梶原 生一,山路 信之,三重大学 陳山 鵬 - 地震時のエレベーター自動診断・自動復旧システムの開発
三菱電機ビルテクノサービス 西山 秀樹 - 設備診断技術を設備管理にどう活かすか
新日本製鐵 藤井 彰 - 振動診断のメカニズムと特徴,今後の展望
三重大学 大学院 陳山 鵬 - AE診断法とその特徴,今後の展望
THK 吉岡 武雄 - 超音波診断のメカニズムと特徴,今後の展望
高知工科大学 竹内 彰敏 - 音響診断のメカニズムと特徴,今後の展望
広島大学 大学院 中川 紀壽 - 潤滑油測定のメカニズムと特徴,今後の展望
福井大学 大学院 岩井 善郎