当社ではいろいろな径のロールを多数使っております。ロールネックのジャーナル部が摩耗しているものもあり,ベアリング損傷の恐れがあります。予備品があまりありませんので,全部を取り替えることができません。とりあえずの応急処置を教えてください。
解説します。
ローラーの径や使用場所,荷重などにより経済性を考慮して,再生することをお勧めします。
ローラー嵌め合い部摩耗の再生処置についてまとめておきますので参考にしてください。
1. 軽過重・低速の場合(応急処置として採用)
(1) 薄い黄銅板を摩耗部に巻きつけてセットする方法
あまり精度を重要視しない場合に限ります。
次の手順で実行します。
1)軸摩耗部に凹凸が多いときは,ヤスリで平らにする。
2)軸受け幅よりやや狭い幅で,周囲長は軸より2mmぐらい短く黄銅板を切り,摩耗部に固く巻きつける。
3)黄銅板の合わせ目に瞬間接着剤をつけ,直ちに押し込む。
4)軸受けを治具で完全に打ち込む。
(2) 摩耗部にポンチ打ちを行い,軸受けを治具で打ち込む方法
(3) 摩耗部を接着剤で充填する方法
摩耗軸表面の油気をアルコール類で除去し,接着剤を塗布し,軸受けをセットして硬化を待つ。
接着剤は速硬性で硬度が比較的高いもの(たとえばクイックメタル)がよい。
この方法は軸径が直径で5/100~50/100mm程度の摩耗量のとき成功する。
以上三つの方法はいずれも軸芯を正確に出せない方法ですので早めに正規なものと取り替えることです。
2.中荷重の場合
(1)摩耗部に溶射肉盛りを施工する方法
溶射の際は,摩耗部を切削し,さらにブラスト打ちなどを丁寧に実施することです。この下地処理の良否が溶射を成功させる要です。
(2)その他の方法
1)ポンチ打ちの方法
2)鉄めっきの方法
3.中・高荷重・高速回転の場合
ジャーナルの摩耗部に低温肉盛り溶接をして研削仕上げをする。
この種のローラーは少しの不具合でも大きな事故につながりますので,十分注意して施工しなければなりません。 この方法の主な注意事項は
(1)溶接には細心の注意を払い,スラグの巻き込みを避けること
(2)段付き部のRは,使用軸受けの型番号により,許容範囲内で最大にとること
(3)R部は表面をよく仕上げること,もし円周方向にバイトの跡が残っていたならば,できるだけ消して,むしろ軸方向の筋をつけるように表面を修正すること
(4)使用後は,なるべく早い時期に表面傷の有無を検査すること
などです。
コンディションモニタリングBOX
メーカー別製品一覧
解説 コンディションモニタリング
- 設備診断技術の動向と今後の展望
大阪市立大学 大学院 川合 忠雄 - ガスタービンにおける設備診断の現状と課題
IHI 小林 英夫 - 原子力発電プラントにおける設備診断の現状と課題
東芝 渡部 幸夫 - 鉄鋼プラントにおける設備診断の現状と課題
新日本製鐵 村山 恒実 - 化学プラントにおける回転機設備診断機器の有効な活用法
三井化学 三笘 哲郎 - 化学プラントにおける設備診断の現状と課題
昭和エンジニアリング 里永 憲昭,梶原 生一,山路 信之,三重大学 陳山 鵬 - 地震時のエレベーター自動診断・自動復旧システムの開発
三菱電機ビルテクノサービス 西山 秀樹 - 設備診断技術を設備管理にどう活かすか
新日本製鐵 藤井 彰 - 振動診断のメカニズムと特徴,今後の展望
三重大学 大学院 陳山 鵬 - AE診断法とその特徴,今後の展望
THK 吉岡 武雄 - 超音波診断のメカニズムと特徴,今後の展望
高知工科大学 竹内 彰敏 - 音響診断のメカニズムと特徴,今後の展望
広島大学 大学院 中川 紀壽 - 潤滑油測定のメカニズムと特徴,今後の展望
福井大学 大学院 岩井 善郎