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工場のメンテナンス予備品管理の意義 | ジュンツウネット21

わが工場では,メンテナンス用の予備品が十分管理されず,時々トラブルを起こしております。しかし,きちんと管理するためには,それなりの体制,費用がかかると思います。予備品管理を正しく行ってそれに見合うメリットを出したいと思います。どのように進めたら良いのですか。

解説します。

予備品を管理する目的を明確にすることからはじめます。

一般に言われている予備品管理の目的は次に示すものです。

(1)予備品不備による休止損失を減少する
(2)適正在庫管理による在庫維持費を減少する
(3)計画的発注方式などにより購入のための事務費を減少する
(4)工事計画に密着した適正納期管理により,工事準備や工事実施の作業能率を向上させる
(5)消耗量を把握することで,設備,機器,部品などの弱点を見つけることができる
(6)消耗量管理により予備品品質の改善を図る

これらの目的を達成させるためには,予備品を一品ごとに性格づけし,目的にしたがって分類し,データが集め易いようにすることです。それには,使用量を正確に把握することが前提です。すなわち,使う側の意識も大切です。

よく使われる分類・区分を表1表2表3表4に示します。

表1 一般的な範囲区分
購入区分
資機材区分
内容
例示
一般市販品 消耗品 JIS規格などにより寸法,形状,材質などが統一されており,かつ消耗的に使用しているもの ボルト,ナット,パッキン,鋼材,電線,ウェス,洗油など
一般市販品 機器部品 メーカー型番などにより調達可能で汎用的でかつ使用量の多いもの 電気メーカー機器部品,油空圧機器部品,ベアリングなど
個別購入品 機器部品 自社の図面・仕様により調達するもので,一般的には高額でかつ共有性の無い物 伝導軸,歯車,テーブルローラー,クレーン,車輪など
表2 在庫管理区分
区分
内容
例示
常備品 常時一定量を在庫しているか,または支障のないように即納体制が整っているもの 使用量が多く且つ平準化しており,比較的安価なもの
個別計画品 原則として使用計画に合わせて調達するもので,調達後使用までの間以外在庫しないもの 個別管理的要素の強いもので,比較的高額なもの
表3 予備品性格区分
No
区分
内容
1
消耗品 ボルト・ナット,鋼材,一般消耗品
2
共用品 メーカー型番などにより仕様・条件が統一され,工場間,設備間で共用できるもの
3
単一部品 設備構成の単一機器部品で,この形態のものが多い
4
部分的セット予備品 精度確保,修理の容易さを狙って,セットで保有する機器予簿品(油圧ポンプカートリッジ,モーター回転子,テーブルローラー軸受セット品など)
5
セット予備品 緊急突発休止時間の短縮,修理精度の向上,工事平準化などから重要なものについて,セット予備品として保有するもの(減速機,油圧シリンダー,モーター,ポンプ,軸受つきローラーなど)
表4 予備品特性区分
No
区分
内容
1
経常品 一定期間内(例えば3~6ヵ月)に,定量的に使用するもの
2
非経常品 比較的短期間内(6ヵ月~1年)に使用するもの
3
スポット計画品  周期1年以上のもので,点検・検査結果から調達,取替時期を決める
4
保険的予備品 突発故障などにより,急に使用するもので,機会損失防止面から使用計画以前に調達在庫する(突発故障実績などを参考にする)
5
循環品 セットで持ちオフラインで整備し,繰り返して使用する

予備品管理の目的(1)はそのまま計算できます。(2)~(4)は分類・区分を利用して,在庫数,発注方式などを正しくすることにより,結果として現れるメリットです。(5),(6)はデータを十分利用した前向きの活動で,これこそがメンテナンス活動の真髄です。

アーステック



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最終更新日:2022年12月1日