減速機から油漏れがひどく,機械周りの汚れとして5S活動で常に指摘され困っております。
解説します。
減速機からの油漏れは,ケーシングの合わせ面とオイルシール部分がほとんどです。
まず,どこから,いつごろから,どのくらい漏れているかを把握することが大切です。そのためには機械周りを常にきれいにしておく必要があります。
次に極めて簡単な原因で漏れていることがあります。潤滑油の入れすぎ,減速機内水侵入による潤滑油液面上昇などにより,漏れることがあります。
油浴式の場合は大歯車の末端が潤滑油に浸る程度が適当です。
さらにオイルシールの取付不良,ケーシング合わせ面取付不良などが見過ごされていることがあります。
これら基本的なことを調査して,問題がなければ次の対策に進んでください。
1.ケーシングのあわせ面からの油漏れは,ケーシングのひずみ,合わせ面の表面粗さ不適による密着性低下が原因です。この合わせ面からの漏れを簡易に防止するには,合わせ面に液体パッキンを使用するか,図1に示すようなスカートを設ける手段が有効です。
図1 合わせ面からの油漏れ防止策の例 |
2.オイルシール部からの油漏れに対しては,まずオイルシールを交換することです。しかし,オイルシールの寿命が短いときはオイルシールを損傷する原因があります。これを取り除かないといつまでたっても安定しません。
オイルシール損傷の原因は軸の表面が荒れがほとんどです。この場合,減速機が水あるいは粉塵などの飛散を受ける雰囲気で運転されて,軸が腐食・摩耗してしまっているわけです。とりあえず,軸のシール取付部を溶射,めっきなどで寸法を修復し,同時に軸表面の摩耗強度を向上させることです。
さらに減速機に水,粉塵の防止策を施し,軸にダストシールをつける,あるいはダストシール付オイルシールを採用すると万全です。
コンディションモニタリングBOX
メーカー別製品一覧
コンディションモニタリング機器の紹介
解説 コンディションモニタリング
- 設備診断技術の動向と今後の展望
大阪市立大学 大学院 川合 忠雄 - ガスタービンにおける設備診断の現状と課題
IHI 小林 英夫 - 原子力発電プラントにおける設備診断の現状と課題
東芝 渡部 幸夫 - 鉄鋼プラントにおける設備診断の現状と課題
新日本製鐵 村山 恒実 - 化学プラントにおける回転機設備診断機器の有効な活用法
三井化学 三笘 哲郎 - 化学プラントにおける設備診断の現状と課題
昭和エンジニアリング 里永 憲昭,梶原 生一,山路 信之,三重大学 陳山 鵬 - 地震時のエレベーター自動診断・自動復旧システムの開発
三菱電機ビルテクノサービス 西山 秀樹 - 設備診断技術を設備管理にどう活かすか
新日本製鐵 藤井 彰 - 振動診断のメカニズムと特徴,今後の展望
三重大学 大学院 陳山 鵬 - AE診断法とその特徴,今後の展望
THK 吉岡 武雄 - 超音波診断のメカニズムと特徴,今後の展望
高知工科大学 竹内 彰敏 - 音響診断のメカニズムと特徴,今後の展望
広島大学 大学院 中川 紀壽 - 潤滑油測定のメカニズムと特徴,今後の展望
福井大学 大学院 岩井 善郎