ロール駆動用に,スピンドルタイプのカップリングを多く使っております。突然破損して大きな事故を起こします。さらに作業員の災害の恐れもあります。トラブルを未然に防ぐ日常点検について教えてください。
解説します。
スピンドルタイプのカップリングには図1に示すように,いくつかのタイプがあります。
図1 スピンドルカップリングのいろいろ |
それぞれのタイプの特徴とトラブル事例をこのQ&Aシリーズで,既に紹介済みです。それらを再度読み直してください。
トラブル事例を頭に置いて,次の点検を実施し,具体的トラブルに結び付けて,早めに対策をとってください。
(1)スピンドルの振れ,騒音(異音)
(2)オイルシールからの潤滑剤の漏れ
(3)各ボルト類のゆるみ
(4)摺動部,転動部の発熱
このうちでボルト類の緩みが大事故への兆しです。トルクレンチでの定量締付け,まわり止め施工などゆるみ止め対策,さらに,緩みの原因も明確にして,対策をとってください。
特に開発著しいユニバーサルカップリングは,性能が優れている反面,図2に示すように複雑な構造をしているので,細心の注意が必要です。
最近は点検技術の中に,振動計を使った設備診断技術があります。これにより振動の変化を観察し,必要に応じて,精密診断などを取り入れ,トラブルを早期に発見することができますので,併せて検討してください。
図2 ユニバーサルカップリングのクロス部 |
コンディションモニタリングBOX
メーカー別製品一覧
コンディションモニタリング機器の紹介
解説 コンディションモニタリング
- 設備診断技術の動向と今後の展望
大阪市立大学 大学院 川合 忠雄 - ガスタービンにおける設備診断の現状と課題
IHI 小林 英夫 - 原子力発電プラントにおける設備診断の現状と課題
東芝 渡部 幸夫 - 鉄鋼プラントにおける設備診断の現状と課題
新日本製鐵 村山 恒実 - 化学プラントにおける回転機設備診断機器の有効な活用法
三井化学 三笘 哲郎 - 化学プラントにおける設備診断の現状と課題
昭和エンジニアリング 里永 憲昭,梶原 生一,山路 信之,三重大学 陳山 鵬 - 地震時のエレベーター自動診断・自動復旧システムの開発
三菱電機ビルテクノサービス 西山 秀樹 - 設備診断技術を設備管理にどう活かすか
新日本製鐵 藤井 彰 - 振動診断のメカニズムと特徴,今後の展望
三重大学 大学院 陳山 鵬 - AE診断法とその特徴,今後の展望
THK 吉岡 武雄 - 超音波診断のメカニズムと特徴,今後の展望
高知工科大学 竹内 彰敏 - 音響診断のメカニズムと特徴,今後の展望
広島大学 大学院 中川 紀壽 - 潤滑油測定のメカニズムと特徴,今後の展望
福井大学 大学院 岩井 善郎