スピンドルカップリングの振動トラブル

モーターと減速機の間にギヤータイプのスピンドルカップリングを使用しております。現在少しですが，振動が発生しております。今のうちに対策を立てておきたいのですが，どのように対処したらよいですか。

解説します。

スピンドルカップリングの振動トラブルについて

ギヤカップリングは，外筒にある内歯車と，内筒にある外歯車を組み合わせて回転力を伝達するものですが，図1のように外歯の歯先と歯面に凸形のクラウニングを形成してあるので，内歯に対して傾きをとることができ，軸心の狂いや，軸の傾きを許容できるものです。

しかし，傾きの角度は小さいほど寿命が長く，一般には1.5度以下で使用されます。

図1　ギヤカップリングの歯の構造

振動の発生にはいくつかの原因が考えられます。表1にギヤカップリングのトラブルとその対策を示しますので，一つ一つチェックしてください。一般に高速で回転するものでは，遠心力による潤滑剤の飛散，流失が問題ですので，シールの管理を十分行ってください。

表1　ギヤカップリングのトラブルと対策

状況		原因	対策
スピンドルの振れ		（1）軸心の狂い	歯の欠損などないか，スラストボタンの偏摩耗を調べ，摩耗，欠損部品を取り替える
		（2）ロール軸連結部の摩耗	耐摩耗性材質への変更，表面硬化処理の施工
		（3）回転バランス不良	静バランスの調整
歯部損傷	（1）ピッチング摩耗	歯面強度不足，歯当たり不良	歯面強度アップ（歯面焼入れ等硬化処理），Rの増加，歯面切削精度アップ
	（2）欠損	歯面曲げ強度不良	材質強度アップ，歯部仕様変更（歯数，モジュール等）
	（3）異常摩耗	潤滑油不足	定期補給の実施（周期，補給量の見直し），圧送性の良い潤滑剤に変更
	（3）異常摩耗	潤滑油漏れ，流失	オイルシールの強化遠心力で飛散しない構造油質の変更（粘度，ちょう度）