油圧システム周辺の汚れを指摘され点検しました。配管からの漏れのほかにシリンダー固定シール部からの漏れを発見しました。漏れ対策を教えてください。
解説します。
油圧装置油漏れトラブルについて
事例として,Oリングシールについて説明しておきます。
Oリングシールにおける油漏れの主な原因は2つあります。
(1) つぶし代が少なく,Oリングシールのシール効果が不足している。
これを発生させている要因は
- みぞの深さが深すぎる
- みぞ部の傾斜,へたりがある
- Oリングがみぞに合っていない
- チューブにふくらみがある
などです。
図1に相互寸法を示しますが,つぶし代は表1を参考にしてください。
図1 Oリングシール部の相互寸法 |
表1 Oリングのつぶし代
|
(2) Oリングのはみ出し,破損によるすきま発生(図2)。
図2 Oリングのはみ出し,破損 |
この要因には
- チューブとカバーとのすきまが大きすぎる
- オーバーラップ長さ(2mm以上にする,図3)が不足している
などがあります。
図3 オーバーラップ長さ |
はみ出し現象は,油圧によって発生するもので,圧力,すきま寸法,Oリングのゴム硬度によって決まります。その関係はJIS B2406にありますので参考にしてください。なお,バックアップリングを使うと,はみ出し限界を広くすることができます。なお,はみ出し現象の起こったOリングは,極端な場合折損するが,軽度のときは表面がかじられたように摩耗します。
以上のように,Oリングによるシールはすきま等の寸法が重要な問題であり,圧力がかかったとき起こる弾性変形,たとえばシリンダー直径の膨張,ボルト類の伸びなどを考慮する必要があります。
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