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振動測定の際のポンチマーク | ジュンツウネット21

振動計を使用して,定期的に振動測定をしております。測定位置が,その都度変わると加速度値にばらつきがでて,正確なものにならないと聞いて,測定位置にポンチマークをつけました。しかし,ますますばらつきが大きくなったような気がします。正しい測定方法を教えてください。

解説します。

振動測定の際のポンチマークについて

ポンチマークで穴をあけた位置に,探触棒付ピックアップを当てて測定すると,加速度帯域でのばらつきが大きくなります。

これは探蝕棒の先端が測定表面に安定して接触しないためです。測定表面は平坦なところを選び,ペンキ,マーカーシールなどを利用して,測定位置のマークをつけてください。ここで探触棒を使った測定の際の注意事項をまとめておきます。

(1)測定位置は常に同一とし,時系列的変化を調査する。参考に円周方向の高周波振動の分布を図1に示します。

油圧ポンプの円周方向の高周波振動の分布
図1 油圧ポンプの円周方向の高周波振動の分布

(2)探触棒は凹凸した表面やかどの部分に押し当てて測定しない。

(3)探触棒は押し付け圧を指定範囲内におさめ,できるだけ一定にする。

 加速度レンジにおけるピックアップの押し付け力と測定値の変化の事例を図2に示します。

加速度レンジにおけるピックアップ押し付け力と測定値の変化
図2 加速度レンジにおけるピックアップ押し付け力と測定値の変化

(4)探触棒は厚い塗装膜の上から押し付けて測定しないこと。厚い塗装膜は,高周波の振動を減衰させてしまうことがあります。また,押し付け力が変わると塗装膜での高周波振動の伝達が大きく変化するので安定した測定ができません。

 厚い塗装膜のある面での測定は,まず地肌が出るまで塗装をはがして,薄い塗装(はけ塗り2回)に仕上げてから測定する。

(5)探触棒は測定面に対して直角に当てて測定する。

(6)探触棒を剛性の高い部分に当てて,測定する。

(7)探触棒は落とされたり,ぶつけられたりすると曲がることがあります。完全に修理してから使いましょう。曲がった場合の測定値の変化を図3に示します。

探触棒付きピックアップの曲がりによる感度の違い事例
図3 探触棒付きピックアップの曲がりによる感度の違い事例

ブルカージャパン ナノ表面計測事業部

アーステック



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最終更新日:2022年11月28日