購入してから10年以上経過した自動タレット旋盤を使用しています。最近,加工精度にばらつきがあり,問題になっております。原因を追究したところ,サドルスライド部にかなりのギャップがあり,六角タレット割り出し部にもガタがあることがわかりました。今すぐ,長期間停止することは生産の都合でできません。対処方法や事例を教えてください。
解説します。
自動タレット旋盤の加工精度不良について
この状態は致命的な問題です。加工精度のバラつきの他に,誤動作による,ワークホルダーの破損事故を招くこともあります。至急対処してください。
さらに詳しく確かめるためには反圧力側のホースをはずして加圧し,ピストンからの漏れを調べてください。
本来ならばオーバーホールを実施すべきですが,部品を用意してあっても10日ほどの設備停止が必要です。したがって,設備停止可能な時期まで応急処置をすることをお勧めします。
応急処置の事例を紹介します。
図1にサドル部を示します。
図1 サドル部 |
ギャップの原因はスライドギブ自体の摩耗が激しいことでしたので,図2に示すように,ギブに100mmの同質材料を追加溶接し,フライス加工後すり合わせ仕上げし,組み付けました。
○鋳鉄補修用低温溶接棒を使用する |
図2 スライドギブの溶接
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次に図3に六角タレット部を示します。
図3 六角タレット部 |
六角タレット割り出し部のガタをなくすためには,駆動軸を新たに作る必要があります。しかし,材料手配だけでも1週間かかりますので,次の応急処置をしました。(図4参照)
(1)ベベルギヤのノックピンは一合わせが難しいので,現在のピン穴を13mmのテーパーリーマで仕上げ,13mmの長いノックピンを打ち込む。
(2)反対側のキー溝を0.05mm程度加工して,その寸法に合わせて,キーを打ち込む。
図4 六角タレット割り出し軸 |
コンディションモニタリングBOX
メーカー別製品一覧
コンディションモニタリング機器の紹介
解説 コンディションモニタリング
- 設備診断技術の動向と今後の展望
大阪市立大学 大学院 川合 忠雄 - ガスタービンにおける設備診断の現状と課題
IHI 小林 英夫 - 原子力発電プラントにおける設備診断の現状と課題
東芝 渡部 幸夫 - 鉄鋼プラントにおける設備診断の現状と課題
新日本製鐵 村山 恒実 - 化学プラントにおける回転機設備診断機器の有効な活用法
三井化学 三笘 哲郎 - 化学プラントにおける設備診断の現状と課題
昭和エンジニアリング 里永 憲昭,梶原 生一,山路 信之,三重大学 陳山 鵬 - 地震時のエレベーター自動診断・自動復旧システムの開発
三菱電機ビルテクノサービス 西山 秀樹 - 設備診断技術を設備管理にどう活かすか
新日本製鐵 藤井 彰 - 振動診断のメカニズムと特徴,今後の展望
三重大学 大学院 陳山 鵬 - AE診断法とその特徴,今後の展望
THK 吉岡 武雄 - 超音波診断のメカニズムと特徴,今後の展望
高知工科大学 竹内 彰敏 - 音響診断のメカニズムと特徴,今後の展望
広島大学 大学院 中川 紀壽 - 潤滑油測定のメカニズムと特徴,今後の展望
福井大学 大学院 岩井 善郎