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摩耗したシャフトの再生 | ジュンツウネット21

予備品置き場に主要箇所が摩耗したシャフトがごろごろしております。捨てるにはもったいないためです。良い再生法を教えてください。

解説します。

摩耗したシャフトの再生について

一般に,ロール軸はめ合い部が摩耗した状態で,処置に困り,放置してあるケースが多いと思われるので,事例としてロール軸はめ合い部の摩耗応急処置について紹介します。

(1)軽荷重・低速回転の場合

1. 薄い黄銅板を摩耗部に巻きつけて軸受をセットする方法(図1

この方法は,回転時,ロールの振れ精度を重要視しない場合に限ります。
手順は以下の通りです。

a.軸摩耗部に凹凸がいちじるしければ,ヤスリである程度平らにする
b.軸受幅よりやや狭い幅で,周囲長は軸より2mmくらい短く黄銅板をはさみで切り,摩耗部に固く巻きつける
c.黄銅板の合わせ目に瞬間接着剤をつけ,直ちに軸受を押し込む
d.軸受を治具で完全に打ち込む

黄銅板巻きつけによる応急処置
図1 黄銅板巻きつけによる応急処置

2. 摩耗部にポンチ打ちを行い,軸受を治具で打ち込む方法(図2

ポンチ打ちによる応急処置
図2 ポンチ打ちによる応急処置

(2)中荷重の場合

摩耗部に溶射盛を施工する。溶射の際には,素地を切削し,さらにブラスト打ちなどを丁寧に行うことが大切です。(図3

溶射肉盛による応急処置
図3 溶射肉盛による応急処置

(3)中~高荷重の場合

ジャーナル部の摩耗部に溶接肉盛りして研削仕上げする。(図4

この方法で注意しなければならないことは次のことです。

a.溶接には細心の注意をはらい,スラグの巻き込みを避けること
b.段付き部のRは,使用軸受の型番号により,許容範囲内で最大にとること
c.R部は表面をよく仕上げること。もし円周方向にバイトの跡が残っていたなら,できるだけ消して,むしろ軸方向のすじをつけるように表面を修正する
d.使用後はなるべく早い時期に取り外して表面傷の有無を検査すること

溶接肉盛による応急処置
図4 溶接肉盛による応急処置

ブルカージャパン ナノ表面計測事業部

アーステック



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最終更新日:2022年11月28日