当工場の重要生産ラインの循環水ポンプがケーシングより漏れ始めました。同型のポンプはモデルチェンジされたために,カバーの在庫が製造元になく,新しく作るのに3ヵ月かかるということです。このままでは漏れが大きくなり,ライン停止に至る可能性があります。しかし,主要ラインのため,長期間停止は不可能です。何か良い方法はありませんか。
解説します。
ポンプケーシングのクラックトラブルについて
循環水も長く使っているといろいろな物質が入ってきて,ポンプのケーシングなどを損傷することがあります。一般に,ポンプは常に正常に見える働きをしているので,故障することを予想しないものです。予備品など準備している工場はめったにありません。したがって,いざという場合は常日頃の応急処置技術を活用して,一時的な処置をすることが大切です。
3日で施工した事例を紹介します。ポンプカバーからの水漏れのトラブルです。腐食部を図1に示します。
図1 腐食部 |
この場合,ベルゾナモレキュラRメタルを使用しました。
カバー材質は鋳物で,形状も比較的簡単で,孔食部の厚みは6mmでした。なお,セラミックRメタルは次のような特徴を持っています。
- 火気を使用しないため熱ひずみがない
- 優れた耐食性
- 優れた耐熱性
- 優れた耐摩耗性
施工手順は次の通りです。
(1)孔食部を図2に示すように,グラインダー,ヤスリなどで削り取り錆,汚れ等を取り除き,できる限り表面を粗くする
図2 孔食部 |
(2)洗浄液で十分脱脂する
(3)孔食部にセラミックRメタル肉盛りし,図3に示すように元の形状まで成型する。あらかじめ外側にテープなどで補強し,凸を防ぐ
図3 施工方法 |
(4)養生12時間
(5)硬化後グラインダーなどで削り,最終仕上げをする
なお,セラミックメタルは多品種ありますので,メーカーに相談してください。
コンディションモニタリングBOX
メーカー別製品一覧
コンディションモニタリング機器の紹介
解説 コンディションモニタリング
- 設備診断技術の動向と今後の展望
大阪市立大学 大学院 川合 忠雄 - ガスタービンにおける設備診断の現状と課題
IHI 小林 英夫 - 原子力発電プラントにおける設備診断の現状と課題
東芝 渡部 幸夫 - 鉄鋼プラントにおける設備診断の現状と課題
新日本製鐵 村山 恒実 - 化学プラントにおける回転機設備診断機器の有効な活用法
三井化学 三笘 哲郎 - 化学プラントにおける設備診断の現状と課題
昭和エンジニアリング 里永 憲昭,梶原 生一,山路 信之,三重大学 陳山 鵬 - 地震時のエレベーター自動診断・自動復旧システムの開発
三菱電機ビルテクノサービス 西山 秀樹 - 設備診断技術を設備管理にどう活かすか
新日本製鐵 藤井 彰 - 振動診断のメカニズムと特徴,今後の展望
三重大学 大学院 陳山 鵬 - AE診断法とその特徴,今後の展望
THK 吉岡 武雄 - 超音波診断のメカニズムと特徴,今後の展望
高知工科大学 竹内 彰敏 - 音響診断のメカニズムと特徴,今後の展望
広島大学 大学院 中川 紀壽 - 潤滑油測定のメカニズムと特徴,今後の展望
福井大学 大学院 岩井 善郎