油圧シリンダーの動きが鈍いので,分解してみましたら,図1のようにピストンシールの外周リップの先端部分が加圧側から軸方向へのせん断によって欠損しておりました。とりあえずシールは取り替えましたが,原因は何でしょうか。できれば対策を教えていただきたいと思います。
図1 ピストンシールの外周損傷 |
解説します。
油圧シリンダーピストンシール欠損事故について
ピストン用のパッキンによく見られる故障の代表的なものです。
直接には,シリンダー組み立ての際,チューブ側にピストンを挿入する時,チューブ側のとば口角部やねじ,ポート穴角部などにパッキンの外側リップ先端を引っ掛けて損傷したものと考えられます。原因は(1)チューブ側挿入端部の面取り不足,(2)ねじ部の影響,(3)ポート穴の面取り不足 があります。(図2参照)
図2 パッキン外側リップひっかかり部分 |
したがって,つぎのような対策をとってください。(図3,図4参照)
(1)チューブ側挿入端部の面取りを改善する。
(2)ポート穴を通過する場合は,角部に十分なRの面取りをするか,段差をつけるなどして径をのがす。
(3)ねじ部などの寸法の取り合いを改善すると同時にパッキンのリップがねじ部などを通過する場合は,保護カバーをシリンダーのチューブ側端部にかぶせるなどして保護する。
図3 シリンダー角部の面取り |
図4 ねじ部通過時の保護カバー |
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