われわれの工場ではベルトコンベヤーが多く使われております。ベルト破断事故のときは,なるべく早く取り替えることにしておりますが,それでも7時間は設備停止となります。さらに予備品がないときは入荷まで待たねばなりません。そのため予備品も多数保有しております。応急処置方法があれば大きなメリットです。
解説します。
コンベヤーベルト破断時の応急処置について
ベルトコンベヤーは原料,半製品,製品といろいろな形のものを搬送します。一見補助設備のような感じがしますが,主要機械どうしを結ぶ大切な設備です。したがって十分に点検し,不良個所が見つかったときは早めに修復し,ベルト切断などによる大きな損失を防止せねばなりません。
特に原料を搬送するベルトコンベヤーには異物が混入しているケースが多く,思わぬ破断事故が発生することがあります。本来は交換するのが良いのですが,長時間停止が許されないときは,一時的な処置も必要でしょう。ここでは大型ベルト横切れ,縦切れの事例を紹介しますので,参考にしてください。
(1)ベルト横切れの応急処置
ベルトをつなぐ部分は,大きな張力がかかるため,切断部分をベルトレーシングでつなぎ,その上を即乾性のゴムライニング材でコーティングして,搬送品のもれを防止する方法をとります。
<作業手順>
1. ベルトの切れ口に定規を当てて,直角に切り落とす。
2. ベルトレーシングをベルト幅より短めに折り,図1のようにゲージピンを差し込む
図1 レーシングの幅決めとゲージピンの差込み |
3. 金床上に乗せ,ゲージピンに押し付け気味にして歯の左右より交互に打ち込む
4. 角材の上に移し,図2のように歯先を角材に打ち込むまでハンマーで叩き込む
図2 レーシング歯先の打ち込み方 |
5. 再び金床に戻し,ベルトと金具が完全に平らになるまで,つめ先を叩きつぶす
6. もう一方の切り口も同様に行い,蝶番ピンで止める
7. ゴムライニングは硬化促進剤を添加して硬化時間の短縮を図る。この場合ゴムライニング面をアイランプなどで暖めるとさらに硬化を促進することができる
(2)縦切れベルトの応急処置
縦切れの場合は,ベルトの接合部分には大きな張力がかからないため,針金でレーシングして,その上に即乾性のゴムライニング材をコーティングする方法が良いと思います。
<作業手順>
1. 折損部の両側にドリルで5mm穴を100mmピッチであける
2. 針金で図3にしめすようにレーシングし,針金の先はベルトの下に,角材を入れ,ベルトに食い込むほど叩きつぶす
図3 針金でのレーシング方法 |
3. ゴムライニングする
コンディションモニタリングBOX
メーカー別製品一覧
コンディションモニタリング機器の紹介
解説 コンディションモニタリング
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三井化学 三笘 哲郎 - 化学プラントにおける設備診断の現状と課題
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