合成樹脂を生産しているプラントで大型層を使用しております。撹拌機が重要設備ですが,その回転軸のグランドシール部が長時間の使用による摩耗で液漏れを発生させることがあると聞いております。一時的にはグランドシールを取り替えることでしのげると思いますが,軸まで摩耗したときはどのような処置をしたら良いですか。
解説します。
回転軸摩耗の応急処置について
補修方法は(1)攪拌機軸を新作して取り替える,(2)軸を抜き取り溶射,メッキなどで補修,(3)軸抜き取りスリーブなどに改良する,(4)現場で溶射補修する などいくつかが考えられ,それぞれにメリット,デメリットがありますが,今回は短期間でできるというメリットを第1にして現場での溶射補修について紹介します。
金属溶射法には大別して電気式溶射法,ガス式溶射法,粉末式溶射法の3つがあります。現在は溶射技術が大変向上しているので,各メーカーに相談してください。ここでは比較検討して,ローカイド溶射法(ノートン社)を採用し,溶射材料は酸化クロームを使いました。
なお,溶射後の寸法精度を確認するために,試験軸を作って実験しました。
溶射の手順は表1に示すとおりです。
表1 溶射手順とポイント
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さらに,施工上の注意点は,(1)溶射部位の表面が荒れていれば,サンドブラスト後,アンダーコーティング途中で軸径を測定しながら,ヤスリ等で滑らかにしてから表面溶射に入れば,仕上げ寸法精度が向上する,(2)表面溶射材の諸物性を発揮させるためには,下地処理を完全に実施する
ことです。
ちなみにこの補修作業は2日間で終了しました。
コンディションモニタリングBOX
メーカー別製品一覧
コンディションモニタリング機器の紹介
解説 コンディションモニタリング
- 設備診断技術の動向と今後の展望
大阪市立大学 大学院 川合 忠雄 - ガスタービンにおける設備診断の現状と課題
IHI 小林 英夫 - 原子力発電プラントにおける設備診断の現状と課題
東芝 渡部 幸夫 - 鉄鋼プラントにおける設備診断の現状と課題
新日本製鐵 村山 恒実 - 化学プラントにおける回転機設備診断機器の有効な活用法
三井化学 三笘 哲郎 - 化学プラントにおける設備診断の現状と課題
昭和エンジニアリング 里永 憲昭,梶原 生一,山路 信之,三重大学 陳山 鵬 - 地震時のエレベーター自動診断・自動復旧システムの開発
三菱電機ビルテクノサービス 西山 秀樹 - 設備診断技術を設備管理にどう活かすか
新日本製鐵 藤井 彰 - 振動診断のメカニズムと特徴,今後の展望
三重大学 大学院 陳山 鵬 - AE診断法とその特徴,今後の展望
THK 吉岡 武雄 - 超音波診断のメカニズムと特徴,今後の展望
高知工科大学 竹内 彰敏 - 音響診断のメカニズムと特徴,今後の展望
広島大学 大学院 中川 紀壽 - 潤滑油測定のメカニズムと特徴,今後の展望
福井大学 大学院 岩井 善郎